現代社会における大きな問題の一つ、孤独死。その実態は、火葬場という場所で働く人々によって目の当たりにされています。今回は、YouTubeチャンネル「火葬場奇談」を運営し、漫画「最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常」(竹書房)の原案者でもある下駄華緒さんの体験談を通して、引き取り手のないご遺骨の物語に迫ります。
下駄さんは「火葬場職員は人生の締めくくりをしてあげられる素晴らしい仕事」という熱い思いを抱き、火葬場の世界に飛び込みました。しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、想像を絶する現実でした。
孤独死と火葬場の現実
火葬場の職員
身寄りのない孤独死を遂げた方のご遺体は、市町村が火葬を行い、そのご遺骨は番号を付けられて火葬場の霊安室に保管されます。何百もの小さな骨壺が、来るか来ないかわからないお迎えを待ち続けているのです。まるで、誰も迎えに来ない保育園に一人残された子供のように…。この現状は、NPO法人「エンディングセンター」の活動報告にも共通する部分があり、孤独死問題の深刻さを改めて認識させられます。
霊安室でのある出来事
霊安室の骨壺
ある日、下駄さんは先輩職員と共に霊安室で骨壺の並べ替え作業を行いました。定期的に行われるこの作業は、お迎えが来た後の空いたスペースを埋めるためのものです。手のひらサイズの小さな骨壺、それぞれに番号が振られていますが、長年の保管により順番はバラバラです。
小さな骨壺に込められた想い
並べ替え作業中の職員
後輩職員が「ここに並べられたお骨たちの気持ちってどんなものでしょうね」と呟いた時、下駄さんは深く考え込みました。「自分だけお迎えが来なくて、みんな帰っちゃった夜の保育園に一人残された子供のような気持ちかな…」と。著名な葬儀社の代表取締役(仮名:山田一郎氏)も、「故人の想いを汲み取り、最期の旅立ちをサポートすることが私たちの使命」と語っており、火葬場職員の心情を代弁しているかのようです。その時、霊安室に新たなご遺体が運ばれてきました。その棺桶を見た下駄さんたちは、思わず息を呑みました…。
この物語は後編へと続きます。後編では、火葬場職員が目の当たりにした、身寄りのないご遺体の悲痛な叫びについてお伝えします。