兵庫県知事選、PR会社への報酬は公選法違反? 専門弁護士が解説

兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦知事ですが、選挙運動を支援したPR会社への報酬支払いを巡り、公職選挙法違反の疑いが浮上しています。何が問題なのか、専門家の視点から分かりやすく解説します。

PR会社への報酬は「買収」にあたるのか?

兵庫県庁兵庫県庁

斎藤知事はPR会社A社に71万5000円を支払ったことを認めています。選挙運動への報酬であれば公職選挙法でいう「買収」に該当しますが、問題はそれほど単純ではありません。総務省のウェブサイトでは、「選挙運動用ウェブサイトやメールの企画立案を行う業者への報酬」について、業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合、買収となる恐れが高いとされています。

選挙法務の専門家である三葛敦志弁護士は、A社社長B氏の情報発信内容から、「選挙に関する役務提供契約があり、A社が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行ったことが強く推認される」と指摘します。

A社社長の発言から見えるもの

B氏は自身のnote(現在は削除済み)で、斎藤知事から相談を受け、広報全般を任されたと明記。プロフィール撮影、コピー・メインビジュアル刷新、SNSアカウント開設、ポスター・チラシ作成、選挙公報作成、政策スライド作成、SNS運用など、A社が行った業務内容を詳細に記載していました。また、「監修者として責任を持って行った」「東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けた」といった表現からも、A社が主体的に業務を行ったことが伺えます。

斎藤元彦兵庫県知事とPR会社社長斎藤元彦兵庫県知事とPR会社社長

さらに、選挙カーに同乗し、斎藤知事の近くで写真撮影を行うB氏の様子も確認されています。これらの状況証拠から、A社が斎藤知事の委託を受け、主体的に選挙に関する業務を行ったと推認できると三葛弁護士は述べています。

連座制の可能性も

仮に斎藤知事自身 が報酬支払いに直接関与していなくても、陣営の幹部等が買収行為を行った場合、連座制が適用され、当選無効となる可能性があります(公職選挙法251条の2、251条の3参照)。今回のケースでは、A社への報酬支払いが選挙運動への対価と判断されれば、斎藤知事の当選が無効となる可能性も否定できません。

例えば、著名な選挙コンサルタントであるX氏は、「今回のケースは、PR会社が単なる技術的なサポートではなく、選挙戦略の中核部分を担っていた可能性が高く、公選法違反に抵触するリスクが大きい」と指摘しています。

まとめ

兵庫県知事選におけるPR会社への報酬問題は、公選法における「買収」の定義、そして選挙コンサルタントの役割について、改めて議論を呼ぶ可能性があります。今後の捜査の進展が注目されます。