インドネシアでワニ襲撃、女性作業員が死亡 アブラヤシ農園での悲劇

インドネシア中部、カリマンタン島(ボルネオ島)の西カリマンタン州にあるアブラヤシ農園で、女性作業員がワニに襲われ死亡する痛ましい事故が発生しました。豊かな自然に囲まれたプランテーションでの労働は、時に野生動物との遭遇という危険と隣り合わせであることを改めて突きつける出来事です。

ワニ襲撃の悲劇:同僚の目前で水路に引きずり込まれる

被害にあったのは44歳の女性作業員で、同僚と2人でアブラヤシ農園で作業中だったところ、突然ワニに遭遇しました。ワニは女性に襲いかかり、左手をかみちぎりながら水路へと引きずり込んでいったといいます。同僚は必死に女性を助けようとしましたが、ワニの力には抗えず、近くの港湾地区ケタパンの警察に通報しました。

altaltアブラヤシ農園:ワニの危険と隣り合わせの現場 (2022年6月30日撮影、資料写真)

90分間の捜索:ワニの口から遺体を奪還

通報を受けた警察と救助隊は、直ちに現場に急行し、捜索活動を開始しました。約90分後、襲撃現場からそう遠くない場所で、ワニが女性の遺体をくわえているのを発見。救助隊が近づくと、ワニは遺体を離し、ようやく女性の遺体は奪還されました。

インドネシアにおけるワニ被害:後を絶たない人身事故

インドネシアには、イリエワニやマレーガビアルなど複数のワニが生息しており、人身事故が後を絶たないのが現状です。特に、プランテーションのような水辺に近い場所で働く人々は、ワニの危険に常に晒されています。今回の事故は、野生動物との共存の難しさを改めて示すものと言えるでしょう。専門家の中には、「人間の生活圏の拡大がワニの生息地を侵食し、遭遇の機会を増やしている」と指摘する声もあります。

まとめ:安全対策の強化と意識向上を

今回の痛ましい事故は、アブラヤシ農園をはじめとするプランテーションで働く人々の安全確保が喫緊の課題であることを浮き彫りにしました。関係当局には、ワニの生息状況の把握や、襲撃防止のための対策強化が求められます。また、作業員自身もワニの危険性を認識し、適切な行動をとることが重要です。

この事故を教訓に、再発防止策の徹底と意識向上を図り、安全な労働環境の構築を目指していく必要があります。