韓国の尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案が7日、国会本会議で否決されました。与党議員の多くが採決をボイコットした結果、投票数が規定に達せず、廃案となりました。 大統領の非常戒厳宣言に対する国民や野党の反発は強く、政局の混乱は長期化の様相を呈しています。
弾劾訴追案否決の経緯
7日午後、国会本会議で尹大統領の弾劾訴追案採決が行われました。しかし、与党「国民の力」の議員は採決前にほぼ全員が議場から退出。投票数が規定に達しなかったため、弾劾訴追案は成立せず、廃案となりました。
韓国国会の様子
可決には在籍議員(定数300)の3分の2以上の賛成が必要でしたが、野党議員と一部の無所属議員の賛成票だけでは足りず、与党からの造反も期待されたものの、実現には至りませんでした。
野党側の反発と今後の展開
革新系最大野党「共に民主党」の李在明代表は、弾劾訴追案否決を受け、「内乱行為の責任を問い、尹大統領を必ず弾劾する」と強い姿勢を示しました。「共に民主党」は早ければ11日にも改めて弾劾訴追案を提出する方針です。
政治アナリストの金成宇氏(仮名)は、「今回の否決は、政局の安定化に寄与するどころか、国民の不信感を増幅させ、更なる混乱を招く可能性が高い」と指摘しています。
与党側の対応と尹大統領の謝罪
与党「国民の力」の韓東勲代表は、尹大統領が「秩序ある退陣を進める」と述べ、退陣まで職務から排除されると表明しました。今後の国政運営は韓悳洙首相と与党が担うとしています。
尹大統領は7日午前、国民向け談話を発表し、3日に宣言した非常戒厳について「国民に不安を与え申し訳ない」と謝罪しました。しかし、自身の進退については「与党に一任する」と述べるにとどまりました。
専門家の見解
政治評論家の朴智恵氏(仮名)は、「尹大統領の謝罪は形式的なもので、国民の理解を得られるとは考えにくい。与党に進退を一任する発言も、責任逃れと受け取られる可能性がある」と分析しています。
今後の政局展望
弾劾訴追案は否決されましたが、国民や野党の反発は根強く、政局の不安定化は避けられない状況です。野党は引き続き尹大統領の責任追及を強める構えで、与党内にも動揺が広がっています。今後の政局の行方は予断を許さない状況です。