従業員を踏切自殺に追い込んだ疑い、建設会社社長ら4人を逮捕 ~執念の捜査、メディアへの協力要請を経て~

板橋区の踏切で起きた悲劇から1年。ついに事件の真相が明らかになりつつあります。2023年12月、東武東上線の踏切で列車に轢かれ死亡した男性従業員。当初は自殺と見られていましたが、警視庁の執念の捜査により、建設会社社長ら4人が殺人と監禁の容疑で逮捕されました。本記事では、事件の経緯、警視庁の緻密な捜査、そしてメディア協力の舞台裏に迫ります。

踏切近くの不審な車、そして明らかになる陰湿ないじめ

2023年12月3日深夜、東武東上線下赤塚駅と東武練馬駅間の踏切で、57歳の男性会社員が高野修さんが列車に轢かれ亡くなりました。一見、自殺と思われたこの事件。しかし、警視庁の捜査により、現場近くに停車していた不審な車が浮かび上がります。車内には、高野さんを現場まで連れてきた同社の従業員2名が乗車していました。彼らは、高野さんが列車に接触する一部始終を車内から見ていたのです。

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その後の捜査で、高野さんは会社で日常的にいじめを受けていたことが判明。逮捕された社長を含む4人の従業員が、高野さんを自宅から連れ出し、踏切に向かう前に橋に立ち寄っていたことも明らかになりました。これらの状況証拠から、警視庁は4人が高野さんをいじめの末に自殺に追い込んだ疑いを強め、1年越しの捜査を経て、ついに逮捕に踏み切ったのです。

いじめ立件から殺人容疑へ、警視庁の苦悩とメディアへの協力要請

4人の容疑者は事件直後の事情聴取で関与を否定。高野さんを踏切まで物理的に連れて行ったわけではない、見送っただけだと主張しました。 容疑者の一部は現場にも居合わせていませんでした。 そのため、殺人罪での立件は困難な状況でした。そこで警視庁は、まずは日常的な「いじめ」に着目し、傷害や暴行罪で立件することを検討しました。

「いじめ」の証拠固めを進める中で、警視庁は捜査情報のリークを警戒。一部メディアが捜査の進捗を把握している状況を受け、記者クラブ加盟社に報道自粛を要請しました。殺人容疑での立件を目指す上で、捜査への影響を最小限に抑えるための苦渋の決断でした。一部メディアからは反発もありましたが、最終的には多くのメディアが協力。警視庁の執念の捜査が実を結び、殺人と監禁容疑での逮捕に至ったのです。

1年間の捜査、そして逮捕へ

当初は「いじめ」からの立件を検討していた警視庁。しかし、集められた証拠や状況から、最終的に殺人と監禁容疑での逮捕に踏み切りました。4人が高野さんを自宅から連れ出したこと、現場近くの車中で高野さんの死を見届けていたことなど、状況証拠が積み重なっていったのです。 長期間にわたる証拠収集と慎重な捜査により、ようやく事件の真相解明へと一歩近づきました。 事件の全容解明、そして高野さんのご冥福をお祈りいたします。