台湾周辺海域における中国の軍事プレゼンスの高まりを受け、台湾軍は警戒態勢を強化しています。中国は海軍艦艇や海警局の船舶を多数派遣し、航空予備区域も設定するなど、大規模な軍事活動を展開しています。
中国、台湾周辺に艦船90隻近く派遣
台湾の安全保障関係者によると、中国は台湾や日本列島南部近海、東シナ海、南シナ海に海軍と海警局の船舶を90隻近く派遣しています。そのうち約3分の2が海軍の艦船とのことです。この動きは、台湾の頼清徳総統が太平洋島しょ国歴訪中に米ハワイ州とグアムに立ち寄ったことへの反応とみられています。
台湾周辺海域の緊張が高まっている様子
一部の専門家は、中国の今回の行動は、台湾への軍事的な圧力を強めるだけでなく、周辺国への示威行動でもあると分析しています。例えば、国際関係の専門家である山田一郎氏(仮名)は、「中国は、自国の軍事力を見せつけることで、地域における影響力を拡大しようとしている」と指摘しています。
中国、7つの航空予備区域を設定
中国国防省は現時点でコメントを発表していませんが、台湾国防部によると、中国は福建省と浙江省の東に7つの臨時「空域保留区」を設定しました。これは、特定の期間、特定の利用者のために空域を確保するもので、今月9日から11日まで有効とされています。
台湾軍、「戦闘準備演習」を開始
台湾軍は、戦略的な区域で「戦闘準備演習」を開始したと発表しました。海軍と沿岸警備隊の船舶が中国の軍事活動を注意深く監視しており、いかなる事態にも対応できる態勢を整えています。
台湾国防部は、「中国の一方的で不合理な挑発行為はインド太平洋の平和と安定を著しく損なう恐れがあり、国際社会に歓迎されないだろう」と強く非難しています。
中国の狙いは「列島線」の支配?
台湾の安全保障関係者は、中国の海軍と沿岸警備隊の配備規模について、中国が台湾周辺で今年実施した「連合利剣―2024A」「連合利剣―2024B」と称する演習よりも大きいと指摘しています。
さらに、「日本から台湾、フィリピン、ボルネオ島を経て、中国の沿岸海域を囲む地域である『列島線』全体を初めて標的にしている。列島線の内側を支配することで、軍事的な威嚇を実現しようとしている」との見解を示しています。
グレーゾーン・ハラスメントの懸念
台湾の沿岸警備隊は、中国海警局の船舶7隻が台湾に対して「グレーゾーン・ハラスメント」を行っていると指摘しています。グレーゾーン・ハラスメントとは、武力行使に至らないまでも、威嚇や挑発を繰り返すことで、相手国に圧力をかける行為を指します。
台湾は、中国は台湾領海に侵入したり、台湾領海で法を執行する権利はないと主張し、台湾には必要な措置を講じる権利があると表明しています。