韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が発令した戒厳令を巡り、警察トップの趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長官とソウル警察庁トップの金峰植(キム・ボンシク)長官が内乱容疑で11日未明に拘束されました。国会議員の議会入構を妨害した疑いが持たれており、警察トップの拘束は異例の事態です。
国会封鎖を指示した疑い
趙長官は戒厳令発令後の3日夜、国会封鎖を指示した疑いが持たれています。金長官も趙長官の指示を受け、ソウル警察庁の指揮下にある国会警備隊に同様の指示をしたとされています。この指示により、国会議員らが国会に入ることができず、戒厳令解除要求決議の採決に参加できなかった議員もいたと報じられています。
alt_imageソウル警察庁の庁舎。戒厳令発令を巡り、警察トップの拘束という異例の事態に。
韓国メディアによると、趙長官は国会での質疑において、自身が国会封鎖を指示したと説明していたとのことです。警察の捜査本部は両長官の携帯電話を押収し、捜査を進めていました。
前国防相も逮捕、尹大統領への捜査本格化
戒厳令を尹大統領に進言したとされる金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相も10日深夜、内乱容疑などで逮捕されました。検察は内乱の首謀者は尹大統領だと見ており、尹大統領への捜査が本格化するとみられます。
尹大統領は3日夜に国会が可決した戒厳令解除要求決議を受け、4日未明に戒厳令の解除を正式に表明しました。しかし、戒厳令発令から解除までの間に起きた国会議員の入構妨害は、民主主義の根幹を揺るがす重大な問題として波紋を広げています。
戒厳令発令の背景と今後の展開
今回の戒厳令発令の背景には、国内の政治的対立の激化があると指摘されています。今後の捜査の進展によっては、韓国政界に大きな影響を与える可能性があります。今後の動向に注目が集まっています。
専門家の見解
韓国の憲法専門家であるパク・ミンソク教授(仮名)は、「今回の事件は、大統領の権限行使の限界と民主主義の原則について改めて問う重要な契機となるだろう」と述べています。戒厳令発令の正当性や警察の対応の妥当性について、今後さらに議論が深まることが予想されます。