中山美穂さんが12月6日、自宅浴室で急逝されたという衝撃的なニュースが日本中を駆け巡りました。享年54歳。突然の訃報に、多くのファンや関係者が悲しみに暮れています。12日には家族葬が営まれ、妹である女優の中山忍さんが喪主を務めました。パリ在住の長男も駆けつけ、最期の別れを告げたとのことです。
入浴中の事故とされるも、解剖方法に疑問符
警察は入浴中の不慮の事故と発表していますが、詳しい状況は未だ不明です。当初、クリスマスコンサートのため大阪へ向かう予定だった中山さん。品川駅での待ち合わせに現れず、心配したスタッフが自宅を訪ねたところ、浴槽で倒れている中山さんを発見したといいます。
中山美穂さんのコンサート写真
ヒートショックや飲酒後の溺死など、様々な可能性が考えられるため、8日に解剖が行われました。しかし、この解剖方法に疑問を呈する声が上がっています。遺体管理学の権威である中国・長沙民政学院の伊藤茂教授は、東京都内で行われた解剖は「調査法解剖」であり、本来であれば不要な解剖方法だったと指摘しています。
解剖の種類と調査法解剖の課題
法律上、解剖は「司法解剖」「行政解剖」「調査法解剖」の3種類に分けられます。事件性が疑われる場合は司法解剖、死因究明を目的とする場合は行政解剖が行われます。監察医制度のある地域では行政解剖が実施されますが、監察医のいない地域では遺族の同意を得て大学の法医学教室に解剖を依頼します。
そして、2013年に施行された死因・身元調査法に基づくのが調査法解剖です。監察医のいない地域でも遺族の承諾なしに解剖が可能となりました。しかし、伊藤教授は、既に監察医制度があり行政解剖がスムーズに行える東京都内では調査法解剖は不要だと指摘します。
行政解剖であれば迅速な対応が可能ですが、調査法解剖は大学の予定に左右されるため、遺族のもとに遺体が戻るまでに時間がかかります。今回のケースでは、中山さんの遺体は6日に渋谷署に運ばれましたが、解剖が実施され遺族のもとに戻ったのは8日でした。つまり、7日の丸1日は渋谷署の霊安室に安置されていたことになります。行政解剖であれば、7日中に解剖を済ませ、遺族のもとに戻すことが可能だったはずです。
なぜ調査法解剖が選択されたのか?
では、なぜ時間のかかる調査法解剖が選択されたのでしょうか。伊藤教授はいくつかの可能性を挙げています。一つは、行政解剖は東京都の管轄であるのに対し、調査法解剖は警察署長の判断で大学に依頼するため、警察が主導権を握れるという点です。中山美穂さんの死去という大事件を、警察が主導したかったのではないかという推測です。
もう一つは、調査法解剖は比較的新しい制度であるため、その周知を図る目的があった可能性です。しかし、遺族にとっては一刻も早く遺体と対面したいという思いが強いはずです。警察の都合で解剖が遅れたとすれば、大きな問題と言えるでしょう。
警視庁と東京都監察医務院に質問状を送りましたが、警視庁は「個別の案件については、お答えを差し控えさせていただきます」と回答。東京都監察医務院も「私たちに解剖方法を決める権限はなく、警視庁が決めることなので、何も申し上げることはありません」と回答しました。
真相究明と遺族への配慮を
伊藤教授は、「どんな事情であれ、まずは遺族の希望を最優先にするべき」と述べています。今回の解剖方法の選択は、多くの疑問を残しました。真相究明とともに、遺族への配慮が求められます。