19歳、DVから逃れて…生活保護申請の現実【支援事例から学ぶ】

生活保護は、日本で生活に困窮する人々にとって最後の砦と言える重要な社会保障制度です。しかし、制度へのアクセスや申請手続きには、想像以上の困難が伴うことがあります。この記事では、DV被害から逃れ、生活保護を申請した19歳の女性の事例を通して、その現実と課題を浮き彫りにします。

若者を襲う貧困とDVの現実

19歳の女性がDVから逃れて大阪の街を彷徨う19歳の女性がDVから逃れて大阪の街を彷徨う

経済格差の拡大や不安定な雇用環境の中、若い世代でも貧困に陥るリスクは高まっています。今回ご紹介するカスミさん(仮名)は、19歳という若さでDV被害に遭い、住む場所もお金もない絶望的な状況に追い込まれました。14歳で家を出たカスミさんは、学業を中断し、アルバイトや水商売で生計を立てていました。その後、同棲相手の男性と共に大阪へ移住しますが、DVに耐えかねて家を出ることを決意。所持金は数百円、銀行口座も印鑑もなく、まさに路頭に迷う状態でした。

生活保護申請への道のり:想像以上の困難

生活保護受給世帯・受給者数の推移生活保護受給世帯・受給者数の推移

生活保護制度は、生活に困窮する国民の生活を保障するための制度ですが、申請手続きは複雑で、多くの書類提出や面接が必要となります。特に、カスミさんのように若い世代の場合、制度に関する知識不足や相談相手の不在など、申請へのハードルはさらに高くなります。行政書士の三木ひとみ氏(仮名)は、長年生活保護申請の支援に携わっており、「若い世代にとって、生活保護の申請は精神的にも大きな負担となる」と指摘します。彼女は、カスミさんのようなケースでは、専門家のサポートが不可欠だと強調しています。(参考:三木ひとみ著『わたし生活保護を受けられますか 2024年改訂版』ペンコム)

制度への理解と専門家の支援

生活保護の申請には、収入や資産、扶養義務者の有無など、様々な情報を正確に伝える必要があります。また、窓口担当者との面談では、生活状況や困窮に至った経緯を詳細に説明する必要があり、精神的な負担も大きくなります。カスミさんのケースでは、行政書士が電話で申請手続きを丁寧に説明し、必要に応じて相談に乗ることを約束しました。専門家のサポートは、申請者にとって大きな支えとなり、スムーズな手続きにつながります。

社会復帰への第一歩:生活保護の役割

生活保護は、単にお金を提供するだけでなく、自立支援や就労支援など、社会復帰に向けたサポートも提供しています。カスミさんのような若者にとって、生活保護は生活の基盤を確保するだけでなく、将来への希望を取り戻すための重要なステップとなります。

まとめ:誰もが安心して暮らせる社会を目指して

カスミさんの事例は、生活保護制度の現状と課題を浮き彫りにする一例です。貧困やDVなど、様々な困難に直面する人々が安心して生活保護を申請できるよう、制度の周知徹底や相談体制の強化が求められます。誰もが安心して暮らせる社会を実現するために、私たち一人ひとりが生活保護制度への理解を深め、支援の輪を広げていくことが重要です。