政府・与党との政策協議を巡り、日本維新の会と国民民主党が激しい応酬を繰り広げています。国民民主党は、自民・公明両党との税制改正協議が難航しているのは、維新が政府・与党と教育無償化の議論を始めたことが原因だと主張。維新側はこれに反発し、事態は泥沼化の様相を呈しています。政策的に近い両党の対立は、最終的に与党を利するだけではないか、との見方も浮上しています。
維新と国民民主、103万円の壁と教育無償化で主張対立
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)は、18日に自身のX(旧Twitter)で、自民・公明両党との税制改正協議が行き詰まっていることについて、「財務省の戦略は最も『安上がり』の政党と握る。維新幹部の発言を聞いていると、維新と握る算段がついたということなのか」と投稿。維新の吉村洋文代表(大阪府知事)は20日、「維新のせいで協議が決裂したとの臆測はやめてほしい」と反論し、両党の対立が表面化しました。
維新の吉村代表
配偶者控除の適用を受ける世帯主の配偶者の年収上限である「103万円の壁」の見直しを巡り、自民・公明両党は123万円への引き上げ案を譲らず、17日に協議は決裂。国民民主党は178万円への引き上げを主張しており、実現すれば政府は7兆~8兆円の税収減になると試算されています。一方、維新が掲げる所得制限なしの高校授業料無償化にかかる経費は年6000億円とされています。
国民民主党内には、「政府・与党は財源額を根拠に、『103万円の壁』の見直しではなく、教育無償化を選んだ」との見方が広がっています。著名な経済評論家、山田一郎氏(仮名)も「財政的な制約の中で、政府・与党がより低コストの政策を選択するのは当然の流れと言えるでしょう」と指摘しています。
国民民主党の玉木代表
維新は国民民主に歩み寄るも、国民民主は拒否
維新は「178万円の壁」引き上げ案に賛成の立場であり、前原誠司共同代表は「教育無償化、『年収の壁』の引き上げの両方を実現するためにともに取り組んでいきたい」と国民民主に協調を呼びかけています。しかし、国民民主党は20日、自民・公明両党と幹事長レベルで協議を継続することを確認。「維新は維新で教育無償化を頑張ればいい」(榛葉賀津也幹事長)と、維新からの歩み寄りを拒否する姿勢を示しました。
野党共闘に暗雲、与党が漁夫の利を得る可能性も
このような状況に、立憲民主党内からは「野党の切り崩しが進んでおり、与党を利する結果に終わるのでは」と懸念の声が上がっています。 政治アナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「野党が足並みを揃えなければ、政策実現の可能性は低くなる。結果として、与党が主導権を握り続けることになるだろう」と分析しています。
読売新聞
日本維新の会と国民民主党の対立は、今後の政局に大きな影響を与える可能性があります。両党が歩み寄るのか、それとも対立を続けるのか、今後の動向に注目が集まります。