徳島刑務所で服役する70代の無期懲役囚、田中茂受刑者(仮名)の物語を通して、更生とは何か、その難しさについて考えてみましょう。彼は2度の仮釈放を経験しながらも、再び罪を犯し、刑務所に戻ってきました。一体何が彼を更生への道から遠ざけたのでしょうか。
20代で犯した強盗殺人:被害者の将来を奪う
徳島刑務所の外観
田中受刑者は20代の頃、金品目的で住宅に侵入し、女子大学生を絞殺しました。ギャンブルによる借金が動機でした。「鬼畜の事件。人として最低の行為だった」と彼は自らの罪を振り返ります。被害者となった女子大学生は将来教師になることを夢見ていたといいます。田中受刑者は彼女の将来を奪ってしまったのです。
25年の服役と最初の仮釈放:被害者遺族からの手紙
西日本の刑務所に収容された田中受刑者は、約20年間服役した後、被害者の母親から手紙を受け取ります。それは田中受刑者からの手紙への返信で、「立派な社会人になってください」と書かれていました。当時の刑務所事情もあり、彼は約25年で仮釈放されました。
田中茂受刑者
仮釈放後の違反:再び刑務所へ
食事をとる受刑者たち
無期懲役囚の仮釈放には、保護観察が付きます。保護司との定期的な面談や順守事項を守る義務があります。しかし田中受刑者は仮釈放後すぐに無断外泊し、ギャンブルにも手を染めてしまいます。これらの違反行為により、わずか23日後、再び刑務所に戻ることになりました。
2度目の仮釈放と更生への模索:葛藤と現実
田中受刑者は2度の仮釈放を経て、徳島刑務所で日々を過ごしている
13年間の服役の後、田中受刑者は2度目の仮釈放を得ます。今度こそはと更生を誓い、仕事に就き収入も得ていました。しかし、過去の罪の意識、社会への適応の難しさ、そして再び罪を犯してしまうという恐怖が彼を常に苦しめました。「被害者遺族の思いを裏切った」と彼は語ります。
田中受刑者は「被害者遺族の立派になってくれという思いを裏切った」と語った
更生とは何か:無期懲役囚の未来
徳島刑務所には多くの無期懲役囚が収容されている
田中受刑者の事例は、無期懲役囚の更生の難しさを浮き彫りにしています。更生とは一体何なのか、社会復帰への道はどのように切り開かれるべきなのか。犯罪被害者支援の専門家である山田教授(仮名)は、「更生には、罪を犯した者自身の内省と、社会からの支援の両方が不可欠」と指摘します。 田中受刑者の更生への道のりは、今も続いています。