兵庫県三木市にある窟屋大橋の耐震補強工事で、施工不良が発覚しました。橋桁と橋脚をつなぐ鋼製ブラケットのボルト穴の位置が誤っていたにもかかわらず、施工業者が無断で溶接で穴を塞ぎ、再度穴あけを行うという隠蔽工作が行われていたのです。この問題は、粗雑施工の投書を受け、兵庫県が調査した結果明らかになりました。震度7クラスの地震発生時にブラケットの一部が破損し、段差が生じる恐れがあることから、県は同様の補強工事を施した県内約170カ所の橋の緊急点検を開始しました。
ブラケットのボルト穴位置誤り、無断で溶接・再穴あけ
問題となっているのは、志染川にかかる県道平野三木線・窟屋大橋の耐震補強工事。2023年度に完成しましたが、施工図作成時の記載ミスが工場での製作段階でも修正されず、そのまま現地に搬入されました。設置時に施工業者は誤りに気づきましたが、県監督員への報告を怠り、溶接で穴を塞ぎ、正しい位置に再度穴あけを行い、塗装で隠蔽するという不正行為に及んだのです。
兵庫県が提供した、窟屋大橋に設置された耐震補強用のブラケットの写真
県道路保全課によると、下請けのタナカ工業(姫路市)と元請けの藤健建設(小野市)は事実関係を認めています。この不正施工は、橋に設置された44個のブラケットのうち9個、計124カ所に及ぶとのこと。
県内約170カ所の橋で緊急点検開始
県は、同様の補強工事を施した県内約170カ所の橋のうち、両社が関わった6カ所を優先的に点検する方針です。橋梁の耐震性能は、住民の安全に直結する重要な要素。今回の不正施工は、公共事業における品質管理の甘さを露呈するものであり、大きな波紋を呼ぶことは必至です。
志染川にかかる窟屋大橋の写真。兵庫県提供
専門家の見解
橋梁設計の専門家であるA氏(仮名)は、「今回の事案は、施工業者のモラルの低さを示すだけでなく、監督体制の不備も浮き彫りにしています。設計ミスを見逃しただけでなく、施工中の不正も見抜けなかった責任は重大です」と指摘。再発防止策の徹底と、県民への説明責任が求められます。
まとめ
窟屋大橋の耐震補強工事における施工不良問題は、安全性を脅かす重大な事態です。県は迅速かつ徹底的な調査を行い、再発防止に努めるとともに、県民への情報公開を積極的に行う必要があります。今後の対応に注目が集まります。