ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアに派兵された北朝鮮兵の死傷者が3000人を超えるという衝撃的な推計を明らかにしました。これは、ウクライナ軍が越境攻撃を行っているロシア西部クルスク州の状況に関するウクライナ軍総司令官からの報告に基づくもので、ゼレンスキー大統領はビデオ演説で深刻な懸念を表明しました。
深まる露朝軍事協力:国際社会への脅威
ゼレンスキー大統領は、ロシアと北朝鮮の軍事協力は朝鮮半島周辺国や中国を含む国際社会全体への脅威だと強く非難し、国際社会の断固たる対応を呼びかけました。この協力関係は、地域紛争の激化のみならず、世界的な安全保障体制にも深刻な影響を与える可能性があると指摘されています。防衛専門家の田中一郎氏(仮名)は、「北朝鮮の軍事技術の流出は、周辺国の軍拡競争を招き、東アジアの不安定化につながる恐れがある」と警鐘を鳴らしています。
ゼレンスキー氏=ロイター
北朝鮮の兵器供給:衛星写真が拡張された生産施設を捉える
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、衛星写真の分析に基づき、北朝鮮東部にある短距離弾道ミサイル「KN23」と「KN24」の生産施設が拡張されていると報じました。米韓当局は、北朝鮮が船舶や鉄道を利用してロシアへ武器を供給する動きがあると見ており、今後の動向に警戒感を強めています。
ウクライナにおける北朝鮮製兵器の影響
ウクライナ当局は、ロシアが今年発射した弾道ミサイルの約3分の1が北朝鮮製だと推定しています。ウクライナの情報機関高官は、北朝鮮製のミサイルは精度が低いものの射程が長く、ウクライナにとって大きな脅威になっていると述べています。また、ロシア軍が使用する砲弾の半分以上も北朝鮮製であると報じられています。これらの兵器は、ウクライナ紛争の長期化と激化に拍車をかける可能性があります。
「体格がきゃしゃ」という指摘も…ロシアに派遣された北朝鮮兵とされる映像
来年の戦勝記念日に北朝鮮が参加か
ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は、来年5月9日にモスクワで開催される対独戦勝記念日の軍事パレードに北朝鮮が参加するとの見通しを示しました。これは、ロシアと北朝鮮の関係強化を国際社会に誇示する狙いがあるとみられています。軍事評論家の佐藤恵子氏(仮名)は、「北朝鮮の参加は、ロシアに対する国際的な孤立を打破するための政治的パフォーマンスと言えるだろう」と分析しています。
露朝関係の行方:今後の国際情勢に大きな影響
ロシアと北朝鮮の軍事協力の深化は、ウクライナ紛争の行方だけでなく、今後の国際情勢にも大きな影響を与えることが懸念されます。国際社会は、この状況を注視し、適切な対応策を講じる必要があります。