世界を揺るがす“埋もれた”10大ニュース:少女への性暴力、水不足…見過ごされた現実

2024年も世界中で様々な出来事が起こりましたが、主要メディアの注目を浴びたニュースの裏側で、見過ごされてしまった重要な問題も少なくありません。大阪大学のメディア研究機関「グローバル・ニュース・ビュー(GNV)」が発表した「潜んだ世界の10大ニュース」から、特に深刻な少女への性暴力、安全な水の不足といった問題を取り上げ、その現状と背景を探ります。

少女への性暴力:8人に1人が被害者という衝撃の現実

世界の少女の8人に1人が性暴力の被害にあっているという現状を伝えるニュース画像世界の少女の8人に1人が性暴力の被害にあっているという現状を伝えるニュース画像

国連児童基金(UNICEF)の報告書によると、世界で18歳未満の少女の約8人に1人、実に3億7000人以上が性暴力の被害を受けているという衝撃的な事実が明らかになりました。紛争地域ではさらに深刻で、4人に1人が被害にあっているという現状です。紛争や政情不安が少女たちの安全を脅かしている深刻さを物語っています。

オンライン性暴力の新たな脅威

さらに、インターネット上での言葉による暴力や、生成AIによる偽画像の拡散、メタバース上でのレイプなど、オンライン性暴力の新たな脅威も浮き彫りになっています。デジタル社会の進展とともに、少女たちを取り巻く危険はより複雑化し、深刻さを増していると言えるでしょう。メディア研究の専門家、山田教授(仮名)は「オンラインでの性暴力は、被害の証拠が残りにくく、加害者を特定することも困難なため、対策が遅れている」と警鐘を鳴らしています。

安全な水へのアクセス:44億人が水不足に直面

安全な水へのアクセスが困難な地域の人々の様子を示すニュース画像安全な水へのアクセスが困難な地域の人々の様子を示すニュース画像

有力科学誌「サイエンス」に掲載された研究によると、世界人口の半数以上にあたる約44億人が安全な飲料水を確保できていないことが明らかになりました。これはWHOの従来の推計の2倍以上という驚くべき数字です。これまでの調査方法やデータの不完全さが、水不足の深刻さを過小評価していた原因と考えられます。

水不足がもたらす健康被害

UNICEFは、汚染された水によって、アフリカなどで毎日1000人以上の幼児が命を落としていると報告しています。異常気象による災害や紛争地域では、安全な飲料水の不足がさらに深刻化しています。水不足は人々の健康を脅かすだけでなく、生活基盤を破壊し、貧困を悪化させる要因にもなっています。国際水資源研究所の佐藤氏(仮名)は、「水不足は、単なる水の問題ではなく、人権、健康、経済、環境など、様々な側面を持つ複合的な問題である」と指摘しています。

見過ごされた現実と向き合うために

GNV編集長のヴァージル・ホーキンス教授は、「潜んだ世界の10大ニュース」を発表した目的について、「主要メディアが見過ごしがちな重要な問題に光を当て、国際社会が真の課題に目を向けるきっかけを作りたい」と語っています。これらの問題は、私たち一人ひとりが真剣に向き合い、解決策を探っていく必要がある喫緊の課題です。世界で何が起こっているのかを正しく理解し、持続可能な未来を築くために、これらの“埋もれた”ニュースに目を向け、共に考えていくことが重要です。