伊東市長・田久保真紀氏、学歴詐称疑惑渦中で辞意を撤回し続投へ

静岡県伊東市の田久保真紀市長(55)が、かねてより指摘されていた学歴詐称疑惑の渦中にありながら、31日夜に市内で会見を開き、一度は表明していた辞意を翻して続投する意向を明らかにした。この発表は、市民および関係者の間で大きな波紋を呼んでいる。

続投表明の背景と市民の声

会見の冒頭、田久保市長は深々と頭を下げて謝罪の意を示した。その上で、「本当に多くの方々から厳しいご意見とともに、伊東が変わる機会が失われるのかと、大きな失望の声も多くいただきました」と説明。街中で耳にした「激励の声」が、辞意を撤回し続投を決意する大きな要因になったと明かした。記者からの「辞職はしないのか」という問いに対し、市長は「そのように取っていただいて結構です」と断言し、明確な続投の意思を示した。
伊東市長として会見に臨む田久保真紀氏伊東市長として会見に臨む田久保真紀氏

百条委員会への対応と学歴詐称問題の経緯

田久保市長は会見で、25日に開かれた市議会の調査特別委員会(百条委員会)からの出頭要請を拒否した理由についても言及した。市長は「百条委員会そのものへの出席を拒否しているわけではない」と前置きしつつ、証言請求書には「どのようなことを証言しなければならないか、一切記載がなかった」と、要請内容の不備を指摘した。そして、「再度、百条委から、私がどのような理由で出頭し、何を証言しなければいけないか、しっかりお示しいただいたら、次回の出頭については検討したい」と述べ、条件付きでの応じる姿勢を示した。
学歴詐称疑惑について会見で説明し、頭を下げる田久保真紀市長学歴詐称疑惑について会見で説明し、頭を下げる田久保真紀市長田久保市長は今年5月の市長選において、新図書館建設や大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設中止を公約に掲げ、現職候補を破って当選した。しかしその後、学歴詐称を指摘する文書が全市議に送付され、問題が表面化。市長自身が大学側に問い合わせた結果、指摘通り大学を除籍されていた事実が明らかになった。これを受け、田久保氏は7月中の辞職と出直し市長選への出馬を表明していた。また、卒業証書とする文書を市議会の議長や副議長に「チラ見せ」する形で提示したことも問題視され、百条委員会の証人尋問への出席も拒否していた経緯がある。

公選法違反告発状の受理

こうした一連の疑惑と対応の中、伊東警察署は28日、報道各社が依頼した市長選の経歴調査票に「大学卒業」と記入したとされる問題に関して、田久保氏に対する公職選挙法違反容疑の告発状を受理した。これにより、学歴詐称問題は刑事事件としての側面も帯びてきた。

今後の展望

田久保市長の辞意撤回と続投の決定は、伊東市政に新たな混乱をもたらす可能性を秘めている。学歴詐称疑惑、百条委員会への対応、そして公選法違反の告発受理と、課題は山積している。今後、市政運営の透明性確保と市民への説明責任がこれまで以上に強く求められることとなるだろう。