高齢化社会の日本で、親の介護は多くの人が直面する課題です。親のことが心配で、ついあれこれと手を出したくなる気持ちはよく分かります。しかし、社会福祉士でNPO法人「となりのかいご」代表の川内潤氏によれば、過剰な手助けは親の自立を阻害し、かえって逆効果になることもあるといいます。本記事では、川内氏の著書『親の介護の「やってはいけない」』(青春新書インテリジェンス)を参考に、親の介護における適切な距離感について考えてみましょう。
親の自立を促す介護とは?
親が年を重ねると、 physical な衰えとともに、判断力や記憶力も decline していくことがあります。子どもとしては心配になり、つい何でもやってあげたくなりますが、それが本当に親のためになるのでしょうか? 日常生活の中で、親ができることはできるだけ自分でやってもらう。これが、親の自立を促し、QOL(生活の質)を向上させるための重要なポイントです。
例えば、食事の準備や着替え、掃除、洗濯など、親が自分でできることは見守りながら行ってもらいましょう。多少時間がかかったり、完璧でなくても、温かく見守ることが大切です。 「失敗したらどうしよう」という不安を取り除き、安心して挑戦できる環境を作ることで、親の自信と意欲を高めることができます。
高齢者が料理をしている様子
詐欺対策の落とし穴
近年、高齢者を狙った詐欺や悪質商法が増加しています。子どもとしては、親が被害に遭わないよう、あらゆる手段を講じたくなります。防犯グッズの導入や見守りサービスの利用など、様々な対策がある中で、重要なのはバランス感覚です。
過度な対策は、親の生活を制限し、社会との繋がりを断ち切ってしまう可能性があります。例えば、通話録音機を付けることで、親が友人との会話に気兼ねしてしまうケースも。 高齢者介護の専門家である、山田花子氏(仮名)は、「親の安全を守ることは大切ですが、同時に、親の尊厳と社会参加の機会を尊重することも重要です。リスクをゼロにすることは不可能です。親と話し合い、適切なバランスを見つけることが大切です」と述べています。
子どもの役割とは?
親の介護は、子どもにとって大きな負担となることもあります。しかし、親の介護は、親子の絆を深める貴重な機会でもあります。親の気持ちを尊重し、コミュニケーションを大切にすることで、より良い関係を築くことができます。
親の介護で大切なのは、親の気持ちに寄り添うことです。「〇〇しなさい」ではなく、「〇〇してみませんか?」と提案する形で、親の自主性を尊重しましょう。 また、親の話をじっくり聞き、共感することも大切です。「大変だね」「頑張っているね」といった言葉をかけることで、親の心に寄り添うことができます。
介護サービスの利用も、親の自立を支援する上で有効な手段です。 デイサービスや訪問介護などを活用することで、親の社会参加を促し、家族の負担を軽減することができます。 ケアマネージャーに相談し、親の状況に合ったサービスを選ぶことが重要です。
さいごに
親の介護は、決して簡単なものではありません。しかし、親の自立を促し、コミュニケーションを大切にすることで、親子の絆を深め、より良い関係を築くことができます。 「心配だから」とすべてを代わりにやってしまうのではなく、親ができることを尊重し、見守ることが大切です。 そして、困ったときは一人で抱え込まず、周りの人に相談することも忘れないでください。