ソフトバンクグループの孫正義会長が、AIチップ開発に巨額投資を行い、NVIDIAを超えるAIハードウェア企業の構築を目指しているという驚きのニュースが世界を駆け巡っています。今回は、孫会長の壮大なAI戦略と、その成功の可能性、そして課題について深く掘り下げていきます。
アームを中核としたAIチップ開発戦略
ブルームバーグの報道によると、孫会長はAIの莫大な電力需要問題の解決に情熱を燃やしており、その中心にはソフトバンクグループ傘下のArmがあるとのこと。Armはモバイル機器用プロセッサ設計で事実上独占的な地位を築いており、その低電力性はAI時代の大きな武器となる可能性を秘めています。既にNVIDIAと提携しAIスーパーコンピュータの開発を進めているソフトバンクですが、Arm独自のAIチップ開発も視野に入れているというから驚きです。
NVIDIA CEOと孫正義氏
業界専門家の中には、Armの低消費電力技術とソフトバンクの資金力を組み合わせれば、AIチップ市場でトップに立つ可能性は十分にあると見ている人も少なくありません。例えば、AIチップ設計に精通した東京大学電気系工学科の山田教授（仮名）は、「Armの低電力技術は、エッジAIデバイスの普及に大きく貢献する可能性がある。ソフトバンクの豊富な資金力と組み合わせれば、AIチップ市場におけるゲームチェンジャーとなる可能性は十分にある」と分析しています。
1000億ドル投資の資金源と課題
孫会長は、AIハードウェアへの投資額として1000億ドルという巨額の数字を掲げています。しかし、その資金源はどこにあるのでしょうか？ ソフトバンクグループは9月末時点で250億ドルほどの現金を保有していますが、1000億ドルには遠く及びません。ビジョンファンド2からの出資や、Armなどの関連企業からの資金調達も考えられますが、過去のWeWork投資失敗などから、外部からの資金調達は容易ではないとの見方もあります。
人材確保という大きな壁
資金調達以上に大きな課題として挙げられているのが、AI人材の確保です。生成AIでリードするOpenAIは1372人の社員を抱えていますが、10万人の雇用創出を約束した孫会長は、OpenAIのような規模のAI企業を73社も設立する必要がある計算になります。AI産業は少数の高賃金人材に依存する傾向が強く、製造業のような大規模な雇用創出は難しいのが現状です。
ソフトバンクグループのロゴ
成功の可能性と業界の期待
過去の投資実績を見ると、孫会長は大きな成功と大きな失敗の両方を経験しています。そのため、今回の巨額投資についても、成功を確信する声と懸念の声が入り混じっています。しかし、重要なタイミングで時代の流れを読み、果敢な投資で成功を収めてきた孫会長の手腕に期待する声も少なくありません。特に、日本政府が半導体産業の復活に力を入れている現状を踏まえると、孫会長の挑戦は大きな追い風となる可能性があります。
まとめ：AI半導体業界の勢力図を塗り替えるか？
孫会長のAIチップ開発への巨額投資は、AI半導体業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めています。Armの低電力技術とソフトバンクの資金力を武器に、NVIDIAのような巨人に対抗できるのか、今後の展開に注目が集まります。国民大学経営学部のキム・ドヒョン教授は、「孫会長のビジョンは、AIと半導体の融合という大きな可能性を秘めている。米国中心のAI半導体業界の構図を変える、意義深い挑戦と言えるだろう」と評価しています。
