ベゾス氏「世紀の結婚式」ベネチアで開催 観光公害・格差巡り抗議も

米インターネット通販大手アマゾンの創業者で大富豪のジェフ・ベゾス氏(61)とジャーナリストのローレン・サンチェス氏(55)の結婚式が、イタリアの「水都」ベネチアで6月28日までの3日間、盛大に執り行われた。挙式などにかかった費用は総額5000万ドル(約72億円)と推定されており、その豪華さから欧米メディアは「世紀の結婚式」と報じたが、その一方で、近年ベネチアを悩ませるオーバーツーリズム(観光公害)の悪化や、社会的な格差に対する懸念から、抗議活動も引き起こすこととなった。

ベネチアの運河をボートで移動するジェフ・ベゾス氏とローレン・サンチェス氏ベネチアの運河をボートで移動するジェフ・ベゾス氏とローレン・サンチェス氏

ロイター通信などによると、結婚式には俳優のレオナルド・ディカプリオ氏やマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、トランプ米大統領の長女イバンカ氏ら、各界の著名人を含む約200人が招待された。新婦のサンチェス氏は、イタリアの伝説的女優ソフィア・ローレン氏が映画で着用した衣装にインスパイアされたドルチェ&ガッバーナ製のウエディングドレス姿だったという。

セレブリティが集まったこの派手な結婚式に対し、地元ベネチアの反応は二分された。地元自治体側や経済界からは、「質の良い観光につながる」「結婚式関連の需要が増加する」と歓迎する声が上がった。一方で、今回の注目によってオーバーツーリズムが助長されるとの懸念や、「大富豪が町を遊園地扱いしようとしている」といった市民団体の厳しい反発の声も出た。これは、行き過ぎた資本主義や富の格差社会を象徴する出来事と捉えられたためだ。また、参列者のプライベートジェットが90機もベネチアや近隣空港に到着したとされ、大量の温室効果ガス排出という環境問題も問題視された。実際、期間中の28日には、ベネチア市内で約1000人が「ベゾス氏のための場所はない」と書かれた横断幕を掲げ、抗議デモを行った。

ベゾス氏は最終日のパーティー会場を、当初予定していたベネチア中心部から、市街地から離れた造船所跡地へと変更した。これは、警備上の理由に加え、拡大する可能性があった抗議活動にも配慮した措置とみられている。

この「世紀の結婚式」は、その類稀なる豪華さで耳目を集めたものの、その裏側で、観光地の持続可能性、深刻化する社会格差、地球環境問題といった現代社会が抱える喫緊の課題を改めて浮き彫りにする結果となった。

参照元