【数字から見えるちば】ふるさと納税利用拡大 本当に応援したい地域に ちばぎん総研主任研究員・五木田広輝

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【数字から見えるちば】ふるさと納税利用拡大 本当に応援したい地域に ちばぎん総研主任研究員・五木田広輝

 自分の応援したい市町村に直接寄付ができ、所得と寄付額に応じて住民税の控除が受けられる「ふるさと納税制度」。同制度の税控除適用者(≒利用者)は、平成21年度の開始時(3・3万人)から大きく増加し、30年度には395万人に達している。

 30年度の千葉県内市町村に対するふるさと納税の状況をみると、寄付件数では勝浦市(4万6578件)、長生村(4万5938件)、南房総市(1万9098件)がトップ3となっている。金額でも、長生村(6億2645万円)、勝浦市(5億6847万円)、南房総市(4億0030万円)と同じ顔ぶれが並んでいる。

 勝浦市は、2年前に市内で使える商品券を返礼品にして29億7300万円という額が集まったが、高い返礼率(寄付金に対する返礼品の額の割合)や転売などが横行した点を総務省から問題提起された。ふるさと納税の趣旨は、あくまで地域の応援であり寄付行為である。返礼品やそのお得感ばかりが目立っては、税金を使ったただのお得な通販となってしまうため、一定のルールは必要である。

 そのほか、県内では大多喜町や館山市なども高い返礼率や返礼品に地域の商品でないものがあるとの指摘を受け、相次いで見直しを求められた。しかし勝浦市は、新たに転売対策・返礼率3割以内というガイドラインを順守し、スマートフォンなどで使える「電子感謝券」に改良して導入。お得感は下がったものの市内店舗での宿泊や食事、お土産の購入、レジャーなど自由に使えることが好評で、30年度当初の見込み(約3億円)を上回る寄付を集めることにつながった。

 ふるさと納税の利用拡大には、税金の使い方を明示し、共感を得ることも必要である。最近では、ふるさと納税と、具体的な使い道を示したクラウドファンディングの手法を組み合わせた「ガバメントクラウドファンディング」制度も徐々に広まっている。

 南房総市では、「アワビ漁」を未来に残すための稚貝放流のガバメントクラウドファンディングを行い、今年2月までに目標額(300万円)を上回る約340万円の寄付を集めることに成功した。目標額を達成できたのは、衰退するアワビ漁にフォーカスし、それが多くの共感を得た結果だろう。

 一方、大都市圏では控除によって大きな税収が流出している。県内では54市町村全体で、30年度に62・6億円が差し引きで流出している(市町村民税のみ。控除額111・4億円に対し、寄付受入額は48・8億円)。

 中でも、税収減額の最も大きい千葉市は25億円が流出している。ふるさと納税制度は、このように自治体間の税収のゆがみをもたらしかねない制度でもある。

 いずれにしても、われわれ市民にできることは、目先のお得感だけでなく、制度の本来の目的に鑑み、本当に応援したい・すべき寄付先を選ぶことだろう。(寄稿、随時掲載)

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