【主張】専門家会議廃止 声引き出し政治が責任を

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 国の方針を決めるときに重要なのは、専門家の意見がきちんと届き、どう反映されたかが見える透明な仕組みにすることだ。政府の方針は逆行していないか。

 政府は、新型コロナウイルス対策の専門家会議を廃止し、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく有識者会議の下に、新型コロナ対策を議論する分科会を新設する。

 これまでの専門家会議は法的な位置づけが不明確だった。組織改編の必要性は認める。

 新しい会議体には医学の専門家だけでなく、自治体の代表や危機に対応したコミュニケーションの専門家などを交えるという。

 だが、異なる分野の専門家を集めて議論は深まるか。闘う相手は感染症である。医学や感染拡大に関する専門家の見立ては不可欠であり、単独で存続させるべきだ。経済や危機管理の専門家による分科会も別途設けて意見を聞き、政策決定は政府が行う。

 それが筋ではないか。

 専門家会議は、感染リスクが高い「3密」の回避や、新しい生活様式などを提案してきた。

 人との接触の8割削減などの厳しい助言もあり、「政府が政策を決定しているのか、専門家会議が決定しているのか分からない」といった批判を招いた。

 会議の構成員からは「前のめりになった」と、反省の声も聞かれた。慣れない批判にひるんだのだとすれば、弱気に過ぎる。

 専門家の役目は、自らの知見に基づき、声を上げることだ。世の中が危機にひんしていると気付いたら、真っ先に大きな声で訴えなければならない。象牙の塔にこもり、危機を感じても黙っている専門家には存在意義がない。

 問題はむしろ、誰が意思決定をしているのか分からないと指摘された安倍晋三政権の方であろう。進むべき道を決定するのも、責任を負うのも、政治家の職責で行われるべきである。

 その総合的判断が、医学や経済の専門家の助言と異なることがあっても何ら不思議はない。責任の所在を明らかにした上で、専門家が躊躇(ちゅうちょ)なく所見を述べることができる環境こそ必要だ。

 第2波に備える大事な時だ。新型コロナの新しい知見や感染動向も蓄積されている。専門家の存在の重要性は増すばかりだ。彼らの力を最大限引き出してほしい。

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