赤穂市民病院の医療事故:『脳外科医 竹田くん』モデル医師、業務上過失傷害で在宅起訴

この記事では、2024年12月27日に業務上過失傷害の罪で在宅起訴された、元赤穂市民病院脳神経外科医 松井宏樹被告(46歳)による医療事故について詳述します。漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルとも言われる松井被告は、手術中のミスにより患者に重度の後遺症を残したとして、患者家族から刑事告訴されていました。本記事では、手術中の様子やその後の病院側の対応、そして患者家族の苦悩について掘り下げていきます。

ドリルが神経を巻き込む悲劇

2019年から2021年にかけて赤穂市民病院に勤務していた松井被告は、着任後わずか半年で8件もの医療事故に関与したとされています。その中でも特に深刻な事例が、Aさん(当時74歳女性)の脊柱管狭窄症手術です。

手術は松井被告が執刀、ベテランのB医師が助手として立ち会う予定でした。しかし、手術開始直後、松井被告は「この手術は初めてで自信がない」と発言。B医師がまず片側の患部を手術し、手本を見せるという異例の事態となりました。

B医師から手術を引き継いだ松井被告は、ドリルを用いて骨を切削する作業中に脊髄の一部を巻き込んでしまうという重大なミスを犯しました。手術中の記録映像には、ドリルの刃先に神経が絡みつく痛ましい様子が映っていたといいます。

手術中の記録映像には、ドリルの刃先に神経が絡みつく痛ましい様子が映っていた手術中の記録映像には、ドリルの刃先に神経が絡みつく痛ましい様子が映っていた

術後の対応と医師の説明の矛盾

手術後、Aさんは両足に重度の麻痺が残り、排尿・排便にも支障をきたすようになりました。さらに、断続的な神経性の激痛にも苦しめられることになります。

松井被告はAさんの娘に対し、手術中にドリルが硬膜に当たり神経が飛び出したことを説明し、後遺症が残る可能性を示唆しました。しかし、病院内での説明会では「Aさんの神経はもともと傷んでいたため、障害は手術とは無関係」と発言し、自身の過失を否定するような態度を見せていたとされています。

患者家族への心無い言葉

Aさんと家族が松井被告に強い不信感を抱いたのは、手術から約3ヶ月後の出来事でした。松井被告は「Aさんのような面倒な患者の世話を看護師にさせて申し訳ない。早く退院してほしい」と発言したのです。この言葉はAさん家族に深い傷を与え、松井被告への不信感を決定的なものにしました。

医療事故の真相究明と再発防止へ

医療ジャーナリストのC氏(仮名)は、「医療事故は患者の人生を大きく左右する重大な問題です。今回の事件を教訓に、医療現場における安全管理体制の強化、医師の技術向上、そして患者とのコミュニケーションの改善が不可欠です」と指摘しています。

今回の松井被告の在宅起訴は、医療事故の責任を明確にする上で重要な一歩となるでしょう。今後の裁判の行方を見守りつつ、医療現場全体で再発防止に向けた取り組みを進めていく必要があります。

この事件は、医療現場におけるコミュニケーションの重要性、そして医療ミスが患者の人生に及ぼす深刻な影響を改めて浮き彫りにしました。Aさんとその家族の苦しみを無駄にしないためにも、医療関係者は真摯にこの問題に向き合い、より安全な医療体制の構築に尽力していく必要があります。