韓国国会は2月27日、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行首相に対する弾劾訴追案を可決しました。大統領弾劾訴追後に権限代行を務める首相の職務が停止されるのは、憲政史上初めての出来事です。これにより、崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官が大統領、首相、企画財政部長官の役割を一身に担うことになりました。
前代未聞の首相弾劾、その背景と影響
26日に国会に報告された韓悳洙首相弾劾訴追案は、27日の本会議で採決にかけられました。在籍議員300人のうち192人が出席し、賛成192票で可決されました。与党「国民の力」は採決に参加していません。この弾劾訴追は、梨泰院(イテウォン)惨事への政府対応の不備に対する野党の強い反発を背景としています。国民の安全を守るという政府の責任を問う声が高まり、首相の責任追及に繋がりました。「責任政治」の実現を求める世論も、弾劾訴追を後押ししたと考えられます。韓国政治の専門家、朴智賢(パク・ジヒョン)氏(仮名)は、「今回の弾劾訴追は、今後の政権運営に大きな影響を与えるだろう」と指摘しています。
権力集中と今後の政局
韓悳洙首相の職務停止により、崔相穆経済副首相が大統領、首相、企画財政部長官の職務を代行することになります。前例のない権力集中は、行政の停滞や混乱を招く可能性も懸念されています。今後の政局はさらに不安定さを増し、国民生活への影響も避けられないと予想されます。経済政策の停滞も懸念材料の一つです。韓国経済は現在、世界的な景気後退の影響を受けており、政府の迅速な対応が求められています。しかし、首相不在という異例の事態は、経済政策の決定プロセスに遅れを生じさせ、景気回復への足かせとなる可能性があります。
国民生活への影響と今後の展望
首相弾劾という異例の事態は、国民生活にも様々な影響を与える可能性があります。行政サービスの遅延や政策決定の停滞は、国民の不安を増大させる可能性があります。また、政治的な混乱が長期化すれば、社会不安の高まりも懸念されます。今後の政局の行方は不透明ですが、国民の安全と生活を守るために、政府には速やかな対応と安定した政権運営が求められています。韓国の食文化に詳しい金善美(キム・ソンミ)氏(仮名)は、「政治の混乱は、国民の日常生活にも影を落とす。一日も早く安定した政局を取り戻し、国民生活の安定を確保することが重要だ」と語っています。