韓国の輸出額が2023年に過去最高を記録した。半導体や自動車などの主要産業が牽引し、貿易収支黒字も6年ぶりの高水準となった。明るいニュースに思えるが、韓国経済界は2024年の見通しに不安を抱えている。世界経済の減速や地政学リスクの高まりなど、逆風が強まっているからだ。
過去最高額を更新した韓国輸出の現状
2023年の韓国の輸出額は前年比8.2%増の6837億6000万ドルと、2022年の記録を更新した。世界的なインフレやロシア・ウクライナ戦争といった不安定な国際情勢下での快挙と言えるだろう。好調の要因は、半導体と自動車の輸出が堅調だったことだ。特に半導体は、中国の低価格攻勢の影響を受けながらも、高付加価値製品の輸出拡大により、前年比43.9%増の1419億ドルと過去最高を記録した。自動車も輸出全体の10%を占める主要産業として、韓国経済を支えた。
韓国・釜山の港に積み上げられたコンテナ
輸出好調の陰に潜む不安材料
輸出好調の陰には、不安材料も存在する。まず、世界経済の減速懸念だ。四半期ごとの輸出増加率を見ると、2023年10-12月期は4.2%と、前期までの2桁成長から鈍化している。これは、今後の輸出契約への影響が懸念される。
また、地政学リスクの高まりも無視できない。米中貿易摩擦の激化や中国経済の減速は、韓国経済に大きな影響を与える可能性がある。特に中国は韓国にとって最大の輸出相手国であるため、中国経済の動向は韓国経済の命運を左右すると言っても過言ではない。
2024年の韓国輸出:専門家の見解
専門家の間では、2024年の韓国輸出は厳しい状況になるとの見方が大勢を占めている。「韓国経済研究所」のキム・ヨンチョル研究員は、「世界経済の減速に加え、米中対立の激化、原油価格の高騰など、韓国経済を取り巻く環境は厳しさを増している」と指摘する。さらに、国内の政治不安も輸出に悪影響を与える可能性がある。
活気あふれる韓国の市場
韓国政府の対応と今後の展望
韓国政府は、中小企業への金融支援や輸出商談会の開催など、輸出促進策を打ち出している。しかし、世界経済の不透明感が増す中、これらの対策だけで輸出の落ち込みを防ぐことは難しいだろう。
韓国経済の未来は、世界経済の動向と国内の政治状況に大きく左右される。今後の動向を注視していく必要がある。