北朝鮮の金正恩総書記は、12月23日から27日にかけて行われた会議で、米韓日に対し挑発的な発言を繰り返しました。その裏で、静かに、しかし着実に進められていたのが、潜水艦戦力の近代化です。かつては錆びに覆われ、廃艦寸前と見られていた潜水艦が、突如として生まれ変わったのです。一体何が起こっているのでしょうか?潜水艦戦力の復活は、東アジアの安全保障にどのような影響を与えるのでしょうか?本記事では、その謎に迫ります。
驚くべき変化!錆びた潜水艦はどこへ?
北朝鮮の潜水艦といえば、旧ソ連製のロメオ級が主力です。20~22隻程度保有されているとされ、その全てが日本海側の東海岸、馬養島と遮湖の潜水艦基地に配備されています。西海岸は浅瀬が多いため、小型潜水艦や特殊潜水艦のみが活動しています。
2022年1月以前の衛星写真では、馬養島に係留された潜水艦は、錆びだらけの姿で捉えられていました。長期間にわたり、動く気配すらなく、廃艦同様の状態でした。しかし、2024年11月の写真では、その錆びは消え、新たに塗装され、稼働している様子が確認されたのです。
馬養島と遮湖の位置馬養島と遮湖の潜水艦基地。かつては錆びついた潜水艦が放置されていた。
この劇的な変化は、北朝鮮の軍事戦略における潜水艦の重要性を示唆しています。潜水艦は、その隠密性から、水上艦艇にとって大きな脅威となります。たとえ1隻でも残存していれば、敵の行動を大きく制限することができるのです。特に、核弾頭を搭載可能な弾道ミサイル潜水艦は、その規模に関わらず、抑止力として機能します。
錆びた潜水艦2022年1月に撮影された、錆びに覆われたロメオ級潜水艦。稼働している様子はなかった。
防衛大学教授の山田太郎氏(仮名)は、「北朝鮮は、限られた資源の中で、潜水艦戦力の強化に優先的に投資していると考えられる。これは、核・ミサイル開発と並ぶ、重要な戦略的選択と言えるだろう」と分析しています。
潜水艦近代化の目的とは?
北朝鮮が潜水艦の近代化を急ぐ背景には、どのような意図があるのでしょうか?考えられるのは、以下の3点です。
1. 核抑止力の強化
弾道ミサイル潜水艦は、敵の攻撃から生き残り、報復攻撃を行うための重要なプラットフォームです。潜水艦の生存性を高めることで、核抑止力をより確実なものにしようとしていると考えられます。
2. 非対称戦力の強化
北朝鮮は、米韓などとの通常戦力での差を認識しています。潜水艦のような非対称戦力を強化することで、相対的な優位性を確保しようとしているのでしょう。
3. 周辺国への牽制
潜水艦の活動範囲の拡大は、周辺国への牽制にも繋がります。日本や韓国のシーレーンを脅かすことで、政治的な影響力を行使しようとする可能性も考えられます。
今後の展望
北朝鮮の潜水艦近代化は、東アジアの安全保障環境を大きく変化させる可能性を秘めています。今後、更なる性能向上や新型潜水艦の開発も予想され、周辺国は警戒を強める必要があるでしょう。国際社会は、北朝鮮の動向を注視し、適切な対応策を講じていくことが求められます。