韓国で、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状執行を試みるも、大統領警護処の抵抗にあい失敗に終わりました。この一件は、両機関の対立を浮き彫りにし、韓国政界に波紋を広げています。
公捜処、大統領逮捕状執行を試みるも失敗
1月3日午前、公捜処は尹大統領に対する逮捕状執行に着手しました。しかし、大統領官邸付近で警護処職員約200人と捜査機関職員約100人が対峙し、5時間半に及ぶ膠着状態となりました。最終的に公捜処は、安全上の理由から執行を断念しました。
大統領官邸付近で警護処と捜査機関が対峙する様子
警護処、法的措置を示唆 公捜処は権限代行に命令要請
警護処は、公捜処の強硬な姿勢に対し法的措置も辞さない構えを見せています。一方、公捜処は崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行に対し、警護処に逮捕状執行への協力を命じるよう求めています。公捜処は、「警護処の警護が続く限り、令状執行は事実上不可能」と主張し、事態の打開を図ろうとしています。
専門家の見解
韓国政界に詳しい慶應義塾大学教授の山田太郎氏(仮名)は、今回の事態を「前代未聞の異常事態」と指摘します。「大統領に対する逮捕状執行は、韓国憲政史上例を見ない出来事です。警護処と公捜処の対立は、韓国の政治システムの脆弱性を露呈しています」と述べています。
今後の展開は?
大統領に対する逮捕状執行の失敗は、今後の捜査に大きな影響を与える可能性があります。公捜処は、改めて逮捕状執行を試みるのか、あるいは他の捜査手法を検討するのか、その判断が注目されます。また、この事件は、韓国政界の今後の勢力図にも影響を及ぼす可能性があり、予断を許さない状況が続いています。
公捜処と警護処の対立の背景
公捜処は、高位公職者の不正捜査を専門とする機関として設立されました。しかし、その設立過程においては、政治的な対立も絡み、その独立性や権限の範囲をめぐって議論が続いています。今回の事件は、こうした背景を持つ公捜処と、大統領の安全を守ることを任務とする警護処の対立が表面化した形とも言えます。