YouTubeは本当に夢のある職業なのか?華やかな成功の裏には、厳しい現実も存在する。元ヤクザから人気VTuberへと転身し、登録者数49万人を誇った懲役太郎氏。しかし、2023年10月、運営から突如収益停止処分を受け、「YouTubeだけで食べていくのは無理」と語る。波乱万丈の人生を歩んできた彼の、成功と挫折の物語に迫る。
無一文からのスタート:元ヤクザがVTuberへ
18歳から22年間、ヤクザの世界に身を置き、3度の懲役を経験した懲役太郎氏。足を洗った後、無職で路頭に迷っていた2018年頃、親友の甥である売れない漫画家との出会いが彼の人生を大きく変える。当時、VTuberという新たな表現方法に可能性を感じていた漫画家。懲役氏は、まだ誰もやっていない「元ヤクザVTuber」という斬新なアイデアを提案し、二人三脚で「懲役太郎」というキャラクターを生み出した。
alt
「前科3犯、893番、懲役太郎です」という独特のフレーズで始まる配信は、ヤクザ業界の裏側を赤裸々に語るシンプルなスタイル。逮捕の手続き、組織の内部構造、上納金システム、拳銃の保管、リンチ現場…など、リアルな体験に基づいた内容は、視聴者の興味を掻き立て、瞬く間に人気を博した。
登録者数10万人突破!YouTubeドリームを実現
収益化の条件である登録者数1000人、配信時間4000時間はわずか数ヶ月で達成。最初の収益は5000~6000円程度だったが、手応えを感じた懲役氏は配信頻度を週3回から毎日へと増やし、ニュースを取り上げるなどコンテンツの幅を広げていった。
その努力が実り、3年後には登録者数10万人を突破。YouTubeだけで生活できるほどの収入を得るという、まさにYouTubeドリームを実現したのだ。
「無職だったから時間は無限にあった。それに、喋るだけでロケもゲストも不要。コストもかからなかった」と語る懲役氏。成功の要因は、持ち前の話術と、低コストで制作できる配信スタイルにあったと言えるだろう。
alt
専門家の見解:VTuber市場の成長と競争激化
VTuber市場に詳しいメディアコンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「VTuber市場は近年急速に成長しており、多くの企業や個人が参入しています。そのため、競争も激化しており、差別化が重要になっています」と指摘する。懲役太郎氏の成功は、元ヤクザという独自のキャラクター設定と、リアルな体験に基づいたコンテンツが視聴者の心を掴んだからこそと言えるだろう。
口達者という武器:無一文の元ヤクザに残された唯一の芸
「昔から口だけは達者だった」と振り返る懲役氏。彼にとって、話術は、無一文の元ヤクザに残された唯一の武器であり、人生を逆転させるための切り札となった。しかし、成功の絶頂期に突如訪れた収益停止処分。一体何が起きたのか?後編では、その真相に迫る。