尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の代理人団が、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の呉東運(オ・ドンウン)処長ら約150人を検察に告発する方針を明らかにしました。これは、1月3日に尹大統領に対して発令された非常戒厳宣布に関連する内乱罪容疑での逮捕状執行が、大統領警護処の抵抗により失敗に終わったことを受けての措置です。
告発の背景:戒厳令宣布と逮捕状執行の失敗
1月3日、公捜処は非常戒厳宣布に関連し、内乱罪の疑いで尹大統領に対する逮捕状を執行しようとしましたが、大統領警護処の抵抗により失敗しました。この事件は、韓国社会に大きな波紋を広げ、政治的な対立をさらに深める結果となりました。代理人団は、この逮捕状執行が違憲・違法であり、大統領の安全を脅かす行為であったと主張しています。
alt尹大統領の執務風景。大統領府にて。(写真:朝鮮日報日本語版)
告発の対象:公捜処長、警察幹部、国防部関係者ら
告発の対象には、呉東運公捜処長をはじめ、公捜処の捜査関係者、警察幹部、国防部関係者など約150人が含まれています。代理人団は、公捜処長が捜査指揮権もない状態で警察特別捜査団を動員し、違憲・違法な令状を執行したとして、特殊公務執行妨害および致傷、特殊建造物侵入、軍事基地および軍事施設保護法違反の疑いで告発するとしています。
警察・国防部の対応にも問題点を指摘
また、大統領警護処長からの警護・警備部隊増員要請を警察庁と国防部が拒否したことも職務放棄に当たると主張。さらに、ソウル警察庁と竜山警察署が警護要員の大統領公邸立ち入りを阻止した行為についても、職権乱用・権利行使妨害罪を適用する方針です。
大統領公邸の違法撮影疑惑も浮上
代理人団は、警察特別捜査団が大統領公邸を違法に撮影した疑惑についても指摘しており、軍事施設保護法違反で追加告発する予定です。大統領公邸は第1級国家保安施設に指定されており、無許可での撮影は厳しく禁じられています。
専門家の見解
憲法学者である金教授(仮名)は、「今回の告発は、大統領の権限と捜査機関の独立性という重要な問題を提起するものだ。今後の司法判断が注目される」と述べています。
今後の展開
代理人団は6日にソウル中央地検に告発状を提出する予定です。検察は告発内容を精査し、捜査に着手するかどうかを判断することになります。この事件は、韓国政界に大きな影響を与える可能性があり、今後の展開が注目されます。