韓国で戒厳令を宣言した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状執行を巡り、捜査当局と大統領警護庁の対立が激化しています。大統領府は厳戒態勢を強化し、捜査当局も再執行に向けて準備を進めており、今後の動向に注目が集まっています。
大統領府の「要塞化」と捜査当局の再執行準備
大統領府は、逮捕状執行に備え、正門を車両で封鎖し、周囲に鉄条網を設置するなど、「要塞化」を進めています。7日に再発布された逮捕状の執行に向け、合同捜査本部は慎重に時期や方法を検討しているとみられています。
大統領府前の厳戒態勢
捜査当局は、3日の最初の逮捕状執行の試みが大統領警護庁に阻まれた反省から、今回はより周到な準備を進めているとみられます。韓国主要メディアは、警察の特殊部隊「警察特攻隊」の投入も検討されていると報じています。この部隊は対テロの最精鋭部隊で、隊員のほとんどが軍出身者であることから、事態の深刻さを物語っています。
捜査当局と警護庁の主張の対立
呉東運(オ・ドンウン)公捜庁長は、7日の国会質疑で、最初の逮捕状執行の試みについて「十分に作戦を練るべきだった」と釈明し、「2回目の逮捕状執行が最後という覚悟で最善を尽くす」と強い決意を示しました。
尹大統領
一方、朴鍾俊(パク・ジョンジュン)大統領警護庁長は5日の声明で、「大統領の絶対安全を存在価値とする警護庁が逮捕状執行に応じることは職務放棄だ」と主張し、逮捕状執行への協力を拒否する姿勢を明確にしています。 仮に警護庁が執行を妨害した場合、警察は警護庁幹部の逮捕も辞さない構えを見せており、両者の対立はさらに激化する可能性があります。韓国政界に詳しい専門家A氏(仮名)は、「大統領の逮捕状執行は前例がなく、法解釈も難しい。今回の事態は韓国憲政史上、大きな危機と言えるだろう」と指摘しています。
逮捕状執行の行方と韓国政局への影響
大統領の逮捕状執行は前例がなく、今後の展開は予断を許しません。 執行が成功すれば、韓国政局は大きく混乱する可能性があります。一方、執行が失敗した場合、捜査当局の威信は失墜し、尹政権への批判が高まることも予想されます。 韓国政治の専門家B氏(仮名)は、「今回の事態は、韓国の民主主義と法治主義が試されていると言える。今後の動向を注視していく必要がある」と述べています。