公立学校の教員不足が深刻化している現状を、TBS NEWS DIG Powered by JNNの報道に基づき詳しく解説します。全国の公立学校で、病気休職などによる教職員の欠員が補充できず「未配置」となっている人数が、少なくとも4739人に上ることが全日本教職員組合の調査で明らかになりました。この深刻な状況は、子どもたちの学習環境にどのような影響を与えているのでしょうか?
未配置教員数、過去最多を更新 深刻な教員不足の実態
全日本教職員組合が34都道府県と11政令市の公立学校を対象に実施した調査によると、2022年10月1日時点で「未配置」だった教職員数は4739人に達し、2016年の調査開始以来、最多となりました。比較可能な26都道府県8政令市に限った調査でも、前年比1.2倍と増加の一途を辿っており、教員不足の深刻さが浮き彫りになっています。
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非常勤講師への依存高まるも、負担増大で悪循環に
この未配置への対応策として、約半数(50.6%)は「見つからないまま」の状態であり、少人数授業の取りやめなどを余儀なくされています。一方、「非常勤講師などで対応」したケースも半数近く(47.3%)に上り、前年(17.7%)の約3倍に急増しました。これは、慢性的な教員不足を非常勤講師で補填している現状を示しています。 文部科学省の教育政策研究所の調査(※1) でも同様の傾向が示されており、学校現場の課題解決には、抜本的な対策が必要です。
しかし、全日本教職員組合は、非常勤講師の業務は授業に限られており、生活指導や部活動などの負担は常勤教員が担わざるを得ない状況だと指摘しています。この結果、常勤教員への負担が増加し、疲弊から病休に至るケースが増え、さらに教員不足を悪化させる「病休ドミノ」現象が懸念されています。
子どもたちの不安の声、現場の疲弊を物語る
調査では、子どもたちや教職員から不安の声も上がっています。例えば、「うちのクラスに先生いつ来るんやろ?」といった子どもたちの不安な声や、担任不在による子どもたちの落ち着きのなさ、教頭が授業を受け持つなど、現場の混乱と疲弊が伝わってきます。これらの声は、教員不足が子どもたちの学習環境に深刻な影響を与えていることを如実に示しています。
抜本的な定数改善が必要
全日本教職員組合は、抜本的な定数改善を訴えています。非常勤講師への過度な依存ではなく、常勤教員の増員こそが、教育の質を維持し、子どもたちの健全な成長を支える上で不可欠です。 教育現場の声に耳を傾け、持続可能な教育体制の構築を目指した対策が急務となっています。
※1 文部科学省 教育政策研究所. (調査年度). 調査名.
教員不足問題、私たちにできることは?
教員不足は、未来を担う子どもたちの教育に大きな影響を与える深刻な社会問題です。 この問題について、より深く理解し、共に考え、行動していくことが重要です。 あなたも、この問題に関心を持ち、周りの人と話し合ったり、情報発信したりすることで、より良い教育環境の実現に貢献できるはずです。