国土交通省が、宅配便の再配達削減に向けた取り組みの一環として、「置き配」を標準とし、荷物の手渡しには追加料金を課す仕組みの検討を進めていることが明らかになりました。これは、深刻化する物流業界の人手不足や環境負荷の軽減を目的とした政策転換の可能性を示唆しており、「置き配 標準化」というキーワードが注目を集めています。宅配便の受け取り方が大きく変わる可能性に対し、大手宅配業者各社はどのように受け止め、また、置き配利用時の大きな懸念事項である盗難に対する補償はどのようになっているのでしょうか。本記事では、「日本郵便」「佐川急便」「ヤマト運輸」の大手3社の見解と、置き配における盗難補償制度について詳しくお伝えします。
「置き配」標準化に関する大手宅配3社の見解
国土交通省が「置き配」を標準化し、手渡しを有料とする検討を進めていることに対し、大手宅配業者は現時点でどのような姿勢を示しているのでしょうか。本誌が各社に確認したところ、現時点での標準化検討については以下の回答が得られました。
日本郵便広報宣伝部からは、「現時点では標準化について検討しているものではございません」との回答がありました。
佐川急便広報部も同様に、「現在検討はしておりません」とコメントしています。
一方、ヤマト運輸コーポレートコミュニケーション部からは、「現時点での回答は差し控えさせていただきますが、(中略)全国5万か所以上にのぼる自宅外での受け取り場所の拡大や、お荷物の『お届け予定通知』や『ご不在連絡通知』サービスの提供などにより、お荷物の受け取り利便性の向上を図っています」との説明がありました。
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画像alt: 置き配イメージ:玄関先に置かれた宅配便の荷物
現段階では、2社が標準化の検討を否定、1社が明言を避けるという状況ですが、各社とも再配達削減や受け取り利便性向上には取り組んでいる姿勢が見られます。
消費者の懸念:盗難のリスクについて
将来的に「置き配」がデフォルトになる可能性について、インターネット上では不安の声も多く上がっています。「置き配が当たり前になると盗難が心配」「置き配を標準化するのなら盗難時の補償はどうするのか」といった意見は、多くの消費者が抱える共通の懸念と言えるでしょう。
置き配利用時の盗難に対する補償制度
消費者の大きな関心事である、置き配利用時の盗難に対する補償について、大手宅配3社の対応は異なります。
日本郵便は、「弊社との間で事前に合意した荷送人さまから差し出された荷物で、置き配指定により配達されたものが盗難に遭われた場合に、保険金をお支払いする置き配保険の制度がございます」と述べています。これは、荷送人との事前合意に基づき、保険制度で対応する仕組みです。
佐川急便は、「盗難保険につきましては、現在検討中でございます」としており、現時点では具体的な制度はないものの、導入に向けて検討を進めている段階のようです。
ヤマト運輸は、置き配後の荷物の盗難、紛失、破損、汚損に関して、「適用となる宅急便約款、クロネコメンバーズ会員規約内の個別規約『置き配サービス規約』に基づき、個別に状況を確認のうえ対応します」と説明しています。補償金額については、「宅急便」「宅急便コンパクト」のお荷物は責任限度額が30万円まで、「EAZY」(EC事業者向け配送商品)のお荷物は責任限度額が15万円までと具体的に示されています。
このように、置き配における盗難補償は運送会社によって制度の有無や内容に差があるため、利用者は各社の規約や補償内容を事前に確認しておくことが重要です。
国土交通省の「置き配 標準化」に向けた検討は、宅配便サービスの将来に影響を与える可能性があります。大手宅配業者各社は現時点では標準化そのものに慎重な姿勢を見せていますが、再配達削減という社会課題の解決に向けた議論は今後も続いていくと予想されます。消費者としては、置き配を利用する際の盗難リスクと、各社の補償制度の違いについて理解を深めることが求められます。