名古屋めしの代表格、「世界の山ちゃん」をご存知ですか?カリスマ的存在だった創業者の急逝後、専業主婦だった妻が会社を継ぎ、数々の困難を乗り越え、見事復活を遂げた感動の物語をご紹介します。手羽先の美味しさを超えた、熱い想いが込められた「世界の山ちゃん」の魅力に迫ります。
専業主婦から社長へ:突然の訃報と会社の危機
山本久美社長が出迎える「山」有楽町店
2016年、カリスマ経営者であった山本重雄氏が急逝。当時専業主婦だった妻の久美さんは、突然の出来事に戸惑いながらも、80店舗以上を展開する「世界の山ちゃん」の社長を継ぐことになりました。コロナ禍による大量閉店など、経営は困難を極めました。飲食店経営の知識も経験もなかった久美さんにとって、それは想像を絶する試練でした。
亡き夫の夢を胸に:挑戦と再生への道のり
「世界の山ちゃん」看板メニュー「幻の手羽先」
しかし、久美さんは諦めませんでした。亡き夫の夢、そして「世界の山ちゃん」の味を守りたいという強い思いが、彼女を突き動かしました。従業員と共に試行錯誤を重ね、新メニュー開発や店舗リニューアルなど、様々な改革に取り組みました。
ワンランク上の「山」:東京進出への挑戦
高級感あふれる「山」有楽町店の内観
2024年末、ついに悲願の東京・有楽町への出店を果たしました。「山」と名付けられた新店舗は、看板メニューの「幻の手羽先」はもちろん、新鮮な魚介類も提供するなど、ワンランク上の「世界の山ちゃん」を体現しています。オープン初日、久美さん自ら店頭に立ち、お客様を温かく迎えました。これは、新たな挑戦への決意表明でもありました。
「幻の手羽先」誕生秘話:小さなお店から世界へ
創業当時の「世界の山ちゃん」
1981年、わずか13席の小さなお店「串かつとやきとり やまちゃん」から始まった「世界の山ちゃん」。評判となった「幻の手羽先」をきっかけに、チェーン展開が始まりました。「世界の山ちゃん」というユニークな店名は、アルバイトの学生がお客様からの電話に冗談で答えていたことが由来だといいます。重雄氏のユーモアと遊び心が感じられるエピソードです。
鳥男キャラクター:名古屋めしの象徴へ
「世界の山ちゃん」のキャラクター「鳥男」
重雄氏をモチーフにしたキャラクター「鳥男」も、名古屋めしの象徴として広く知られています。「幻の手羽先」は、今では1秒に1本売れるほどの人気ぶり。名古屋の食文化を語る上で欠かせない存在となっています。
未来への展望:更なる進化を続ける「世界の山ちゃん」
「世界の山ちゃん」は、久美社長のリーダーシップのもと、更なる進化を続けています。伝統の味を守りつつ、新しい時代に合わせて変化していくその姿は、まさに亡き夫の夢の継承と言えるでしょう。今後の「世界の山ちゃん」の活躍に、ますます期待が高まります。