ベラルーシで26日まで行われた大統領選挙は、現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が勝利し、7期目に入ることが確実となりました。30年以上にわたる強権体制は、さらに強固なものとなることが予想されます。今回の選挙結果と今後のベラルーシ情勢について詳しく解説します。
ルカシェンコ氏の圧勝と国際社会の反応
出口調査によると、ルカシェンコ氏は88%近い得票率で圧勝しました。対立候補はいましたが、いずれも政権寄りの候補者であり、有力な対抗馬とはみなされていませんでした。
ベラルーシ大統領アレクサンドル・ルカシェンコ氏
ベラルーシでは独立系メディアが弾圧され、多くの反体制派は国外追放や投獄の憂き目に遭っています。そのため、欧米諸国からは選挙の自由と公正さを疑問視する声が上がっています。ドイツのアナレーナ・ベアボック外相は、X(旧Twitter)で「ベラルーシ国民には選択肢がなかった。自由と民主主義を切望するすべての人にとって悲しい日だ」と投稿しました。
ルカシェンコ氏は選挙後の記者会見で、反体制派の投獄について問われると、彼らは自らの運命を選んだと主張。「刑務所を選んだ者もいれば、亡命を選んだ者もいる。我々は誰も国から追い出していない」と述べました。
2020年の大統領選後の弾圧とチハノフスカヤ氏の動向
2020年の大統領選後、大規模な抗議デモが発生しました。ルカシェンコ政権はこれを機に反体制派への弾圧を強化し、対立候補だったスベトラーナ・チハノフスカヤ氏も選挙直後に国外逃亡を余儀なくされました。チハノフスカヤ氏はロイターの取材に対し、ルカシェンコ氏の再選は「独裁者の儀式」の一環であると批判していました。
26日には、ポーランドのワルシャワをはじめとする東欧諸国の都市で、ルカシェンコ氏に反対するデモが行われました。 これらの動きが今後どのような影響を与えるのか、注目が集まっています。
長期政権の行方と今後の課題
ルカシェンコ氏は、旧ソ連時代から続く長期政権を維持しています。今回の選挙結果により、その支配体制はさらに強固なものになるでしょう。しかし、国際社会からの批判や国内の反体制派の動きは依然として存在しており、今後のベラルーシ情勢は予断を許しません。経済の低迷やロシアとの関係など、ルカシェンコ政権が抱える課題は山積しています。
ベラルーシの政治的安定と民主化の行方は、周辺国や国際社会にとっても重要な関心事です。今後の動向を注視していく必要があります。