「運動が得意な子は勉強もできる」は本当か…科学的思考ができる人なら分かる「相関関係」と「因果関係」


【図表をみる】相関関係と因果関係 まちがえやすい4つのパターン

 ※本稿は、竹内薫『フェイクニュース時代の科学リテラシー超入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■相関関係と因果関係を取り違えるリスク

 科学リテラシーが問われるとき、「データをどう理解するか、読み解くか」は非常に重要な視点です。なかでも実社会でいちばん重要なのは「相関関係」と「因果関係」を理解すること。それなのに学校ではちょっとしか教えてくれなかったりするので、データを正しく読めない人が多いんです。

 たとえば、図表1のグラフを見てください。要素Aの数と要素Bの数の増減に関連性があるという結果が出ています。つまり、AとBの相関関係があるとわかります。

 間違えがちなのが、この相関関係を、因果関係と捉えてしまうこと。つまり、Aを原因としてBが起きた、あるいはBを原因としてAが起きたと関連づけてしまうんですね。グラフの横軸が原因で、縦軸が結果だと思い込んでいる人も多いです。でも、そんな決まりはどこにも書いてありません。

■警察官が増えると、犯罪率が上がる?

 それに、相関関係はあるけれども単なる偶然で、何の因果関係もないのはよくあることです。有名なのが「地球が温暖化すると、海賊が減る」という相関関係。実際にグラフにしてみるとそういったデータが出てくるのですが、温暖化したから海賊が減ったという因果関係も、もちろん海賊が減ったから温暖化が進行するという因果関係もありません。

 因果関係があっても、原因と結果を逆に捉えてしまう事例もあります。

 たとえば「警察官の数が増えると、犯罪率が上がる」というもの。「警察官が増えて、取り締まりを無理やり強化したから犯罪率が上がる」と考える人もいます。確かにあり得ないとは言い切れないですが、これは因果関係を逆に考えたほうがよさそうです。犯罪率が上がったから、それに対応するために警察官の数を増やしたわけですね。

 これだけ見ると笑い話のようですが、実は私たちの日常の中でも、このように因果の順番を捉え間違えていることは案外多いものです。



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