埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故。トラックが転落する事態となったこの事故について、大野元裕知事は下水道管の破損が原因である可能性が高いと発表しました。事故現場の地中を通る下水道管は閉塞している可能性があり、県は周辺12市町、約120万人の住民に対し、下水道の使用制限を要請しています。
下水道管破損の影響は広範囲に
alt 埼玉県八潮市の道路陥没現場。トラックが穴に転落している様子が確認できる。
使用制限の対象となったのは、さいたま市岩槻区、川口市の一部(国道122号線の東側)、春日部市、草加市、越谷市、八潮市、蓮田市、幸手市、白岡市、伊奈町、宮代町、杉戸町です。これらの地域の下水は、問題の下水道管を通って三郷市の中川水循環センターに送られています。
県下水道事業課によると、水道水の使用は可能ですが、下水の排出量が多い場合、下水道管に滞留し、溢水する恐れがあるとのこと。生活への影響を最小限に抑えるため、トイレの使用制限はありませんが、洗濯の回数を減らす、お風呂の水量を少なくするなど、節水を呼びかけています。
下水道管の老朽化が問題か?専門家の見解
「下水道管の老朽化は全国的な問題です。定期的な点検とメンテナンスは不可欠ですが、予算の制約などもあり、十分な対策がとれていないケースも多いのが現状です。」と、水道インフラに詳しい専門家、山田一郎氏(仮名)は指摘します。
今回の事故現場の下水道管は直径3~4.75メートルのコンクリート製で、1983年から使用されています。埼玉県は5年ごとに下水道管の調査を実施しており、2021年の調査では、状態を示すA~Cランクの2番目と評価され、「ただちに工事が必要な状況ではない」と判断されていました。しかし、陥没現場から500メートル上流の地点では、2020年の調査で最も状態が悪いAランクと判定されていたことが明らかになっています。
早急な復旧と再発防止策が求められる
今回の事故は、下水道インフラの老朽化という深刻な問題を改めて浮き彫りにしました。県は早急な復旧作業を進めるとともに、同様の事故を防ぐための対策を講じる必要があります。「住民の安全を守るためにも、老朽化したインフラの更新や維持管理に、より一層力を入れていくべきだ」と山田氏は強調しています。 今後の県の対応に注目が集まります。