近頃、何かと話題の暴力団排除(暴排)。その渦中、暴力団組員のETCカード使用をめぐる裁判で、意外な判決が下されました。一体何が起こったのでしょうか?本記事では、この事件の詳細と、今後の暴排条項への影響について深く掘り下げていきます。
ETCカード使用で無罪?事件の概要
1月14日、大阪地裁は六代目山口組直系団体会長ら3名に対し、無罪判決を言い渡しました。彼らは、内縁の妻名義のETCカードで高速道路を利用し、不正に約1000円の割引を受けたとして、電子計算機使用詐欺罪に問われていました。検察側は懲役1年6月を求刑していましたが、裁判所は「処罰に値しない」と判断。ETCカード使用時の本人確認の厳格さを欠く現状を踏まえ、犯行の悪質性が低いと結論づけました。
ETCカード
警察の執念と費用対効果
今回の事件は、些細な金額にも関わらず、警察は徹底的な捜査を行いました。会長がETCカードを実質的に使用していた証拠を掴むため、尾行や内偵を繰り返し、カメラで長期間にわたる撮影を行ったといいます。司法関係者からは、被害者のいない軽微な事件にここまでリソースを割く必要があったのか、費用対効果の面で疑問の声が上がっています。失踪事件や抗争事件といった重大事件への捜査に注力すべきだという意見も出ています。
過去の判例との矛盾、そしてETCは暴力団の死活問題?
実は、山口組の直参では、過去にも家族名義のETCカードを使用したとして立件されたケースがあります。秋良連合会会長は有罪判決を受け、控訴も棄却されています。今回の無罪判決は、過去の判例と矛盾する結果となり、裁判官の間でも判断が分かれている現状が浮き彫りになりました。
暴力団事情に詳しい専門家(仮名:山田一郎氏)は、山口組にとってETC利用は死活問題だと指摘します。彼らは、ETCパソカの使用制限は不当な差別だと主張し、高速道路会社と国を提訴しているほど。ETCなしでは高速道路の利用が困難になり、料金所で停車中に襲撃されるリスクも高まるため、幹部らは強い危機感を抱いているようです。今回の判決は、彼らにとって追い風となる可能性があります。
暴排条項の未来は?
今回の判決は、暴排条項の適用範囲について、改めて議論を巻き起こす可能性があります。携帯電話の契約やゴルフ場の利用など、これまで暴力団を排除する目的で適用されてきた暴排条項。しかし、今回の判決は、その行き過ぎた運用に警鐘を鳴らすものと言えるでしょう。「刺青があるから風呂を使わせないだけ」といった差別的な運用も指摘されており、今後の暴排条項の在り方が問われています。
![大阪地裁](https://wpb.shueisha.co.jp/news/photo/society/2025/01/30/125894/
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まとめ
ETCカード使用をめぐる今回の無罪判決は、暴排条項の適用範囲や警察の捜査手法について、様々な議論を呼ぶことになりそうです。今後の動向に注目が集まります。