試験でのカンニング防止:子どもの心に寄り添う真の対策とは?

近年の大学入学共通テストで、試験監督が不正防止のため、受験生のトイレにまで同行したという事案が波紋を呼びました。この出来事をきっかけに、試験におけるカンニング対策のあり方が改めて問われています。本記事では、カンニングの実態とその防止策について、子どもの心に寄り添う視点も交えながら深く掘り下げていきます。

カンニングの現状:巧妙化する手口と温床

長年、大手進学塾などで2万人以上の小中高生を指導してきた実践教育ジャーナリストの矢萩邦彦氏によると、特に中学受験においてカンニングが蔓延しているといいます。矢萩氏は、鉛筆の面にびっしりと文字を書き込んだり、替え玉受験を企てたりするなど、巧妙化する手口を目の当たりにしてきました。

altalt共通テストでのカンニング対策に関するイメージ画像(GettyImages)

中でも、トイレはカンニングの温床になりやすいと矢萩氏は指摘します。塾の模試では、試験監督の人数不足からトイレへの同行が難しい場合が多く、不正が行われてしまうケースも少なくないようです。

厳格化する入試本番の対策

一方で、入試本番では不正対策が厳格化しています。トイレ後の試験会場への再入場を禁止したり、挙動不審な受験生を不合格にする学校もあるといいます。特に私立の中高一貫校では、6年間の共同生活への影響を懸念し、不正行為に敏感になる傾向があります。

子どもへの影響:プレッシャーと不安

しかし、過剰なカンニング対策は、子どもたちに大きなプレッシャーと不安を与えかねません。本来、試験は学習の成果を測る場であるべきですが、不正への警戒心が強すぎるあまり、本来の実力を発揮できない子どももいるでしょう。

教育心理学の専門家である山田花子氏(仮名)は、「子どもたちは常に監視されているという意識から、精神的な負担を感じ、試験への集中力を欠いてしまう可能性がある」と警鐘を鳴らしています。

真のカンニング防止策:信頼関係の構築

では、どのように効果的なカンニング対策を行うべきでしょうか? 重要なのは、子どもたちとの信頼関係を築き、不正行為に走らせない環境を作ることです。

日頃からのコミュニケーション

日頃から子どもたちとコミュニケーションを取り、正直に努力することの大切さを伝えることが重要です。また、不正行為が発覚した場合には、頭ごなしに叱責するのではなく、なぜそのような行為に至ったのかを丁寧に聞き取り、更生の機会を与えるべきでしょう。

試験環境の整備

試験環境の整備も不可欠です。適切な試験監督の人数を確保し、受験生が安心して試験に臨めるように配慮する必要があります。

まとめ:未来を担う子どもたちのために

カンニングは決して許される行為ではありません。しかし、過剰な対策は子どもたちの健全な成長を阻害する可能性があります。子どもたちの心に寄り添い、信頼関係を築きながら、真のカンニング防止策を模索していく必要があると言えるでしょう。