名鉄広見線、存続か廃線か?岐路に立つローカル線の未来

名鉄広見線、岐阜県を走る歴史あるローカル線が、今、大きな岐路に立たされています。利用者減少による赤字経営を背景に、存続か廃線かの選択を迫られているのです。100年以上もの歴史を持つこの路線の未来、そして沿線住民の生活はどうなるのでしょうか?この記事では、名鉄広見線が抱える問題点、そして地元自治体が直面する難しい決断について深く掘り下げていきます。

100年の歴史を持つ名鉄広見線、赤字経営の危機

のどかな田園風景を走る名鉄広見線の電車。のどかな田園風景を走る名鉄広見線の電車。

岐阜県を走る名鉄広見線は、開通から100年以上の歴史を誇る路線です。しかし、近年は利用者数の減少という深刻な問題を抱えています。30年前には年間200万人を超えていた利用者数は、現在では約80万人まで落ち込んでいます。人口減少に加え、コロナ禍の影響も大きく、年間2億円前後の赤字が続いています。

この状況を受け、名鉄は2024年の夏、可児市と御嵩町に対し、路線の維持が困難であることを伝えました。線路や設備の老朽化も進んでおり、抜本的な対策が必要となっています。 鉄道ジャーナリストの山田一郎氏(仮名)は、「地方鉄道の多くは、利用者減少と設備老朽化という二重苦に悩まされています。広見線も例外ではなく、厳しい状況に置かれていると言えるでしょう。」と指摘しています。

存続か廃線か?自治体に突きつけられた2つの選択肢

説明会の様子。住民からは様々な意見が出された。説明会の様子。住民からは様々な意見が出された。

名鉄から提示された選択肢は2つ。1つは「みなし上下分離方式」です。これは、運行は名鉄が継続するものの、線路や設備などの維持費用を自治体が負担する方式で、年間約1億8000万円の負担増が見込まれます。もう1つは、鉄道を廃線し、バス路線に転換する方法です。この場合、年間約6400万円の負担となります。

1月30日に御嵩町で行われた住民説明会には、約60人が参加しました。説明会では、2つの選択肢について説明が行われ、活発な意見交換が行われました。特に、利用者の半数以上を占める通学定期を利用する学生への影響が懸念されています。バスへの転換は通学時間の増加につながり、若者の地域離れを加速させる可能性も指摘されています。

地域の未来をかけた決断

広見線の存続か廃線かは、地域経済や住民生活に大きな影響を与える重要な問題です。鉄道は単なる交通手段ではなく、地域コミュニティの形成や活性化にも重要な役割を果たしています。 地域経済アナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「広見線の廃線は、沿線地域の経済活動の縮小、地価下落、そして更なる人口減少につながる可能性があります。自治体は、短期的な費用負担だけでなく、長期的な視点での判断が求められます。」と述べています。

住民からは、バスの運転手確保の問題や財源確保の方法など、具体的な質問も多数寄せられました。 鉄道の存続を望む声、バス転換による利便性低下への懸念、そして巨額の費用負担に対する不安など、様々な意見が交錯する中、可児市と御嵩町は難しい決断を迫られています。広見線の未来、そして地域の未来は、どのような方向へと進んでいくのでしょうか。