ブダペスト日本人女性殺害事件:DV被害訴えも帰国叶わず…大使館の対応に疑問の声

ブダペストで発生したアパート火災で日本人女性が亡くなり、元夫が殺人容疑で逮捕された痛ましい事件。被害女性が在ハンガリー日本大使館にDV被害を訴えていたにも関わらず、帰国が叶わなかったことが明らかになり、大使館の対応に疑問の声が上がっています。事件の背景と今後の課題について、深く掘り下げていきます。

DV被害訴えも…帰国への道閉ざされる

ハンガリーの首都ブダペストで起きたアパート火災。この火災で43歳の日本人女性の遺体が見つかり、アイルランド人の元夫が殺人容疑で逮捕されました。報道によると、被害女性は生前、元夫からのDV被害を在ハンガリー日本大使館に訴えていたとのこと。しかし、帰国は叶わず、悲劇的な結末を迎えることとなりました。

altalt火災現場となったアパート前で開かれた追悼集会の様子。多くの人々が献花に訪れ、深い悲しみに包まれました。

女性を支援していた弁護士や知人によると、女性は2023年に離婚し、2人の子どもと共に日本への帰国を希望していました。しかし、子どもたちのパスポートを元夫に握られていたため、帰国が困難な状況に陥っていました。そこで、昨年夏頃に大使館にDV被害を訴え、子どもたちの帰国に向けた支援を要請したといいます。

大使館の対応に疑問の声

被害女性は、元夫からパソコンの窃盗と脅迫の被害も受けており、地元警察にも相談していたことが明らかになっています。しかし、結果的に事件を防ぐことができず、警察や大使館の対応に疑問の声が上がっています。大使館は取材に対し、「相談があったかどうかも含めてお答えを差し控える」と回答しており、更なる情報開示が求められています。

知人の証言によると、大使館側は女性に対し、元夫と話し合うよう促したとのこと。しかし、DV被害を受けている女性にとって、元夫と直接話し合うことは非常に困難な状況でした。DV被害の深刻さを理解し、より適切な対応が必要だったのではないでしょうか。

専門家の中には、「DV被害者の安全を最優先に考え、速やかな保護と帰国支援を行うべきだった」との指摘もあります。 例えば、DV問題に詳しいA子弁護士(仮名)は、「パスポートがなくても、緊急の場合には大使館が一時的な渡航文書を発給するなどの対応が可能だ」と指摘しています。

今後の課題:DV被害者への支援体制強化

今回の事件は、海外における日本人DV被害者への支援体制の強化が急務であることを改めて浮き彫りにしました。DV被害者は恐怖心から声を上げることが難しく、周囲の理解とサポートが不可欠です。大使館や領事館は、DV被害の実態をより深く理解し、被害者にとって安全で効果的な支援策を講じる必要があります。

この事件を教訓に、今後同様の悲劇が繰り返されないよう、関係機関には迅速かつ適切な対応が求められています。