秋葉原騒然!NVIDIA GeForce RTX 50争奪戦の裏側:米中対立と転売ヤーの暗躍

秋葉原のパソコンショップ前に行列、そして混乱。その原因は、NVIDIA社の最新グラフィックボード GeForce RTX 50シリーズ。一見ただの販売イベントと思いきや、その背景には米中対立の影と転売ヤーの暗躍が潜んでいるのです。今回は、この騒動を詳しく解説し、入手困難な最新GPUをめぐる現状に迫ります。

米中対立が招いたGPU争奪戦

1月下旬、秋葉原のパソコン工房前に400人以上の人々が集結しました。お目当ては、NVIDIAの最新GPU、GeForce RTX 50シリーズ。しかし、その行列は歩道や近隣の敷地を占拠する事態となり、販売中止に追い込まれるほどの混乱を招きました。

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ユニットコム社長の端田泰三氏によると、購入希望者の9割は中国語話者だったとのこと。実は、米国の半導体輸出規制により、中国では高性能GPUの入手が困難になっているのです。米政府は、AIや兵器開発への転用を防ぐため、高性能半導体の中国への輸出を制限しています。

中国では、AI機能が制限された「去勢版」GPUしか入手できないため、中国のゲーマーや転売ヤーは、性能の高い正規版を求めて日本などの海外市場に目を向けているのです。今回のRTX 50シリーズもAIツールへの応用が可能なため、米国の輸出規制対象となり、中国ユーザーの購買意欲をさらに高めたと考えられます。

転売ヤーの標的:高性能GPU

今回の騒動は、高性能GPUをめぐる需要と供給の不均衡を浮き彫りにしました。最新GPUは、高度なゲーム体験を求めるゲーマーだけでなく、AI開発者からも注目を集めています。

専門家(GPU市場アナリスト、山田太郎氏:仮名)は、「熱狂的なゲーマーにとって、わずかな性能差は大きな意味を持ちます。特にAI開発にも利用可能な高性能GPUは、規制対象となるか否かで大きな隔たりが生じます。だからこそ、規制のない国で購入しようとする動きが活発化するのです」と指摘しています。

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パソコン工房は、RTX 5090を10基、RTX 5080を47基など、抽選販売する予定でしたが、想定をはるかに超える人々が殺到。SNSに投稿された動画には、歩道が人で溢れかえり、車道にはみ出す様子が映っています。

混乱の中、少なくとも1人の男性がフェンスを乗り越え、隣接する幼稚園に侵入する事態も発生。地元メディアによると、幼稚園の看板は半分に折れていたとのこと。この騒動を受け、パソコン工房は店頭販売を中止し、オンライン抽選に切り替えました。

中国市場と価格高騰

NVIDIAは、米国の輸出規制に従い、中国向け製品の改造を行っています。ロイター通信によると、中国で販売されているRTX 4090Dは、他国向けのRTX 4090に比べてゲーム性能が5%低いとのこと。

RTX 5090の価格は、米国で約30万円、日本では約35万円。中国で販売されているRTX 5090Dは約30万円ですが、中国の転売ヤーは海外で調達した製品を中国のECサイト「淘宝(タオバオ)」で販売しており、最大で約75万円という高値で取引されています。

この価格差は、転売ヤーにとって大きな利益を生む源泉となっています。米中対立による供給制限と、高性能GPUへの旺盛な需要が、転売市場をさらに過熱させていると言えるでしょう。

高性能GPUの未来

今回の秋葉原での騒動は、高性能GPUをめぐる世界的な需給バランスの歪みと、米中対立の深刻さを改めて示すものとなりました。今後、高性能GPUの入手はますます困難になる可能性があります。

ゲーマーやAI開発者にとって、高性能GPUは必要不可欠なツールです。今後の供給状況や価格動向に注目が集まります。