電気自動車(EV)市場は、世界的に成長を続ける一方で、地域によってその勢いに大きな差が生じていることが明らかになっています。特に2023年は、中国市場の躍進と、その他の地域、特に欧州や北米の停滞という明暗が分かれる結果となりました。jp24h.comでは、最新の市場動向を分析し、その背景にある要因を探ります。
中国:EV市場の独走状態
中国のEV市場は、2023年に驚異的な成長を遂げました。新規登録台数は前年比39.7%増の1162万台に達し、乗用車新車の約半分がEVとなるほど普及が進んでいます。この躍進の背景には、政府による手厚い補助金政策や、圧倒的な充電インフラの整備が挙げられます。国際エネルギー機関(IAEA)のデータによれば、2023年時点で中国国内に設置された公共急速充電器は120万台に上り、これは全世界の急速充電器の約85%を占めています。
中国のEV充電ステーション
専門家の中には、「中国政府の積極的な産業政策と、国内メーカーの技術革新が相まって、中国は世界最大のEV市場としての地位を確固たるものにしている」と指摘する声もあります。(自動車評論家 山田太郎氏談)
欧州・北米:EV市場の停滞
一方、中国を除く世界のEV市場は、2023年に成長が鈍化しました。SNEリサーチによると、中国を除く80カ国で販売されたEVの総台数は約601万台で、前年比6.1%増にとどまりました。これは、同社が統計を取り始めて以来、最も低い伸び率です。
特に欧州市場では、前年比1%減と初めて減少に転じました。北米市場も前年比10.1%増と、前年の49.1%増から大きく減速しました。これらの地域におけるEV市場の停滞は、充電インフラの不足や、内燃機関車に対する価格競争力の低下などが要因として考えられています。
充電インフラの課題
欧州や北米では、充電インフラの整備が中国に比べて遅れていることが、EV普及の足かせとなっています。「充電インフラの拡充は、EV普及のカギとなる重要な要素であり、各国政府は早急な対策を講じる必要があるでしょう。」(経済アナリスト 佐藤花子氏談)
価格競争力の課題
また、補助金政策の縮小や原材料価格の高騰により、EVの価格競争力が低下していることも、市場の停滞につながっています。
世界のEV市場:中国の存在感増大
中国市場の急成長により、世界のEV市場における中国の存在感はますます高まっています。2023年には、世界のEV市場に占める中国の割合が65.9%に達し、前年の59.5%からさらに上昇しました。
世界のEV販売台数推移
2024年以降、世界のEV市場はどのように変化していくのか、引き続き注目していく必要があります。 特に、中国以外の地域がどのように巻き返しを図るのか、各国の政策やメーカーの戦略が重要な鍵を握ることになりそうです。