2032年、小惑星衝突の危機!?ジェームズ・ウェッブ望遠鏡が「2024 YR4」を観測!

2032年に地球に衝突する可能性がわずかながら存在する小惑星「2024 YR4」。この小惑星の軌道を詳細に観測するため、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が活用されることになりました。地球への衝突リスク、そして最新の観測計画について詳しく解説します。

小惑星「2024 YR4」とは?衝突の可能性は?

2024年12月に発見された小惑星「2024 YR4」は、2032年12月22日に地球に接近することが予測されています。最新のデータでは、地球に安全に通過する確率は約98%とされていますが、ESA(欧州宇宙機関)惑星防衛局のファン・ルイス・カノ氏によれば、更なるデータ収集が必要とのこと。衝突の可能性は低いものの、専門家たちは慎重な姿勢を崩していません。

小惑星の想像図小惑星の想像図

ジェームズ・ウェッブ望遠鏡による精密観測

この小惑星の詳細な情報は未だ不明な点が多く、直径は約39.9mから89.9m、速度は銃弾の約15倍と推定されているのみです。そこで、宇宙の謎を解き明かすジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が、この小惑星の観測に投入されることになりました。

ジェームズ・ウェッブ望遠鏡は、小惑星が放出する熱を分析することで、可視光での観測よりも正確な大きさの推定を可能にします。これにより、小惑星の組成や密度など、より詳細な情報が得られると期待されています。

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡

観測計画と今後の対策

最初の観測は3月上旬、2回目は5月に行われる予定です。カノ氏によれば、これらの観測によって衝突リスクが排除される可能性は高いとのこと。しかし、リスクが残存する場合、2028年春まで再観測の機会がなく、その時点で衝突軌道かどうかが最終的に判明します。

もし衝突確率が1%以上と判断された場合、科学者たちは地球を守るための対策を検討することになります。NASAが2022年に成功させたDARTミッションのように、宇宙船を衝突させて小惑星の軌道を変更する可能性も視野に入れています。

衝突した場合の影響は?最悪のシナリオとは

最悪のケースとして想定されるのは、1908年にシベリアで起きた「ツングースカ大爆発」規模の被害です。この爆発では、約2150平方キロメートルもの森林がなぎ倒されました。カノ氏によれば、もし「2024 YR4」が最大サイズに近い約89.9mだった場合、「ツングースカ大爆発の10倍以上の影響」が及ぶ可能性があると警告しています。

ツングースカ大爆発ツングースカ大爆発

ジェームズ・ウェッブ望遠鏡による観測結果は、今後の地球防衛戦略において極めて重要な役割を果たすことになります。今後の展開に注目が集まります。