メディアのドン:権力の座に君臨する者たち

メディア業界には、強力なリーダーシップで組織を率いる「ドン」と呼ばれる存在が後を絶ちません。フジテレビの日枝久氏を例に、なぜメディア業界に「ドン」が生まれるのか、その背景と実態を探ります。

メディアのドン誕生の要因

メディア業界は常に変化が激しく、迅速な意思決定と大胆な改革が求められる世界です。そのため、強力なリーダーシップを持つ経営者が求められる傾向があります。特に、報道、とりわけ政治部出身者が多いのも特徴です。時の権力者との良好な関係を築き、その影響力を背景に組織を掌握していくケースが見られます。

日枝氏と安倍晋三元首相の親密な関係は広く知られており、ゴルフ仲間として交流があったと報じられています。安倍元首相の国葬の司会をフジテレビのアナウンサーが務めたことも記憶に新しいでしょう。

日枝久会長と安倍晋三元首相の関係日枝久会長と安倍晋三元首相の関係

また、森喜朗元首相の孫娘や岸信夫元防衛相の息子、故・中川昭一元財務相の長女、加藤勝信財務相の娘など、政界関係者の親族がフジテレビに入社しているという報道もあります。こうした人事からも、権力との結びつきが垣間見えます。

人事権を掌握し、長期政権を築く

日枝氏は人事権を掌握し、自身に異を唱える者を排除、イエスマンを重用することで長きにわたりフジメディアホールディングスのトップに君臨してきました。メディア業界における権力集中の一例と言えるでしょう。

週刊誌では「日枝久の大罪」といった見出しで批判的に報じられていますが、メディアの歴史を振り返ると、日枝氏以上に強権的な人物は少なくありません。特に読売新聞には、多くの独裁的経営者が存在しました。

戦後メディア史における独裁者

戦後、弱小新聞だった読売新聞を大新聞へと成長させたのは、元警視庁警務部長、正力松太郎氏です。斬新な企画で、当時の大手新聞である朝日新聞、毎日新聞に対抗しました。新聞の一面に重要なニュースを掲載するスタイルを確立したのも正力氏と言われています。

正力松太郎氏と読売新聞正力松太郎氏と読売新聞

メディアと権力の関係性

日枝氏や正力氏の例からもわかるように、メディアと権力は複雑に絡み合っています。メディア経営におけるリーダーシップのあり方、権力との距離感、そして報道の公平性など、多くの課題が突きつけられています。メディアの未来を考える上で、これらの問題と向き合い続ける必要があるでしょう。