韓国の半導体産業が、技術面で中国に追い抜かれつつあるという衝撃的な調査結果が発表されました。韓国科学技術企画評価院の調査によると、メモリー、AI半導体、パワー半導体、高性能センサーといった主要分野で、韓国は中国に後れを取っていることが明らかになりました。かつて世界をリードしていたメモリー分野でも、その優位性は揺らぎ始めています。
主要分野で中国に劣勢、韓国半導体の現状
わずか2年前の調査では韓国が優位だったメモリーや高性能センサーの分野でも、中国に逆転を許しています。AI半導体やパワー半導体といった分野では、依然として差を縮めることができていません。事業化の観点から見ても、韓国が中国を上回っているのはメモリーと先端パッケージング技術のみという厳しい現実が突きつけられています。
技術格差の深刻化、日本からの追い上げも
さらに深刻なのは、基礎研究や設計といった基盤技術の分野です。これらの分野では、韓国は中国だけでなく、米国、台湾、日本といった競争国にも後れを取っており、最下位に沈んでいます。追い打ちをかけるように、日本も半導体産業の復活に力を入れており、キオクシアが世界初の332層NAND型フラッシュメモリーを開発するなど、技術革新を進めています。
3D NAND flash memory
韓国経済への影響、国家安全保障にも懸念
半導体は韓国の輸出の2割以上を占める基幹産業です。半導体産業の衰退は、韓国経済全体に深刻な打撃を与える可能性があります。また、先端半導体は国家安全保障にも直結する重要な技術であり、技術格差の拡大は国家競争力の低下に繋がる重大な問題です。
政府・政界の対応の遅れ
こうした危機的状況にも関わらず、韓国の政界は有効な対策を打ち出せていません。半導体産業支援のための特別法案の審議も難航しており、産業界からは対応の遅れを懸念する声が上がっています。(韓国経済人協会長談)
Semiconductor wafer
巻き返しは可能か?産官学連携の強化が鍵
韓国半導体産業が再び競争力を取り戻すためには、企業、政府、政界が一体となって取り組む必要があります。研究開発への投資 확대、人材育成、規制緩和など、あらゆる手段を講じて技術革新を加速させることが求められます。専門家の間では、産官学連携の強化、次世代技術への積極的な投資、グローバルな連携強化などが重要だと指摘されています。(イ・スンチョル氏、ソウル大学工学部教授談)時間は限られています。今こそ、韓国半導体産業の未来をかけた挑戦が始まろうとしています。