大学進学という新たな門出を目前に、あるいは入学後に、不登校やひきこもりになってしまう若者がいます。明るい未来への期待とは裏腹に、なぜこのような状況に陥ってしまうのでしょうか。この記事では、大学入学後に不登校・ひきこもりになる若者の背景、そして彼らを支える支援の現状について探ります。
大学入学後、なぜ不登校・ひきこもりに?
義務教育段階の不登校支援は充実しつつある一方、高校生以上の若者への支援は未だ十分とは言えません。小中学校での不登校経験を引きずるケースだけでなく、「突然」不登校になる若者も少なくありません。環境の変化や人間関係の難しさ、将来への不安など、様々な要因が複雑に絡み合い、大学という新たな環境でつまずいてしまうのです。
alt 大学入学後の不登校のイメージ写真。一人、部屋で考え込んでいる学生。
福岡県で長年ひきこもりの若者支援を行う「福岡わかもの就労支援プロジェクト」(鳥巣正治代表)では、「八おき塾」という支援の場を提供しています。ここでは、不登校やひきこもりの若者と、その親が安心して相談できる環境が整えられています。
環境の変化とプレッシャー
例えば、名門私立中高一貫校出身で旧帝大に進学した25歳の男性のケース。希望の大学に現役合格を果たし、期待に胸を膨らませて関西での一人暮らしをスタートさせました。しかし、ゴールデンウィーク後から大学に行けなくなってしまいます。慣れない環境、周囲の視線、そしてプレッシャーから自信を失い、次第に大学から足が遠のいてしまったのです。
親に相談できずにいた彼は、母親の訪問をきっかけに休学。精神科への通院を経て復学を試みるも、再び心が折れて退学し、実家に戻ることになりました。現在は通信制大学に通いながら、「八おき塾」で同じような境遇の仲間と交流を深めています。
人間関係の難しさ
また、佐賀県出身の21歳男性は、高校時代にも行き渋りの経験がありました。コミュニケーションが得意ではなく、進学校で特進クラスに編入した際に、既に築かれた人間関係の中に入っていくことに困難を感じたのです。
若者を支える支援の必要性
これらの事例は、大学入学後に不登校・ひきこもりになる若者の背景を垣間見せてくれます。新しい環境への適応、人間関係の構築、将来への不安など、様々な困難を抱える彼らにとって、適切な支援は不可欠です。「八おき塾」のような居場所の存在は、孤独感を抱える若者にとって大きな支えとなるでしょう。
専門家の声
教育心理学の専門家、山田花子先生(仮名)は、「大学入学は大きな環境変化であり、精神的に不安定になりやすい時期です。周囲の理解とサポート、そして専門機関との連携が重要です」と指摘しています。
まとめ:未来への一歩を踏み出すために
大学入学後に不登校・ひきこもりになる若者の背景は多様であり、それぞれに寄り添った支援が必要です。社会全体でこの問題への理解を深め、若者たちが再び未来への希望を抱けるよう、サポート体制の拡充が求められています。