オンラインカジノをめぐる問題は、芸人やスポーツ選手にまで波及し、社会問題化しています。違法性を認識していなかったという釈明が目立ちますが、数年前まで「オンラインカジノはグレー」という誤解が広まっていたのも事実。その背景には、オンラインカジノ業者が運営する「無料版アプリ」のCMを流していたテレビ局の存在があります。jp24h.comでは、各局の責任について独自調査を行いました。
テレビ局のCM放送:問題の核心はどこに?
無料版アプリ自体は違法ではありません。ブラックジャックやバカラ、スロットなど、有料版と同様のゲームが楽しめます。利用者は無料のコインで遊ぶため、賭博には該当しないのです。しかし、なぜ業者は高額な広告費を払ってまで無料版アプリを宣伝していたのでしょうか?
広告代理店関係者は、「有料版への誘導」が目的だと指摘します。「巣ごもり需要が高まったコロナ禍以降、テレビ局へのCM売り込みが激しくなり、国内のオンラインカジノ利用者が急増しました」とのこと。
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各テレビ局への取材:回答に見る責任感の差
jp24h.comは、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、フジテレビ、テレビ東京の民放5社にアンケートを実施。過去のCM取り扱い状況、放送期間、問題意識の有無について質問しました。
その中で、テレビ東京は過去のCM放送を認め、反省の意を示しました。BSテレビ東京で2020年から2023年にかけて「ベラジョン」、2020年から2021年にかけて「ミスティーノ」の無料版CMを放送していたとのこと。「違法なオンラインカジノのCMを放送したわけではない」としながらも、「無料版ゲームサイトから違法なオンラインカジノの存在を知り、利用してしまった人がいる可能性は否定できない。大変遺憾に思います」とコメントし、今後のCM考査の厳格化を表明しました。
テレビ朝日も2022年9月から2023年4月まで「ベラジョン無料版」のCMを取り扱っていたことを認めました。当時、民放連放送基準に基づき、無料版であること、有料版への誘引がないこと、射倖心を煽らないことなどを確認した上でCMを受理したと説明。現在は総合的な判断でCM受け入れを見合わせていると回答しました。
今後の課題:メディアリテラシーの向上と規制強化
無料版アプリCMがオンラインカジノ利用者の増加に影響を与えた可能性は否定できません。各テレビ局は、広告収入だけでなく、視聴者への影響も考慮した責任ある対応が求められます。視聴者側もメディアリテラシーを高め、情報を見極める力が重要となるでしょう。
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また、法整備の遅れも問題視されています。明確な規制がない現状では、無料版アプリを隠れ蓑にした違法カジノへの誘導を防ぐことは困難です。関係省庁による迅速な対応が期待されます。
今回の調査を通して、オンラインカジノ問題の複雑さと深刻さを改めて認識しました。健全な社会を守るため、メディア、企業、そして私たち一人ひとりが責任を持って行動していく必要があります。