アメリカで広がるトランプ前大統領への抗議デモ。その背景には、クーデターやファシズムへの不安が渦巻いている。大統領の祝日であるプレジデンツ・デーに合わせて全米各地で展開された「Not My President(あなたは私の大統領ではない)」デモ。ニューヨークだけでも1万人が集結し、手作りプラカードを掲げ、「クーデターを止めろ」「ファシズムは許さない」と訴えた。一体何が起きているのか?
イーロン・マスク氏による政府組織解体への批判
トランプ前大統領の政権下で、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省による大胆な政府組織解体が進められている。150兆円の予算削減、20万人の解雇という目標を掲げ、国防総省から司法省まで、あらゆる政府組織がその対象となっている。航空管制官や核兵器、伝染病の専門家など、重要な職務に就く人々も解雇され、国民の不安は増すばかりだ。
抗議デモの様子
議会承認を得ていないマスク氏による一方的な解体に、批判の声が高まっている。政治評論家の山田太郎氏は、「このような大規模な組織改革は、議会の承認を得て慎重に進めるべきだ。マスク氏の独断専行は、民主主義の原則を無視した暴挙と言える」と指摘する。
トランプ前大統領による司法介入への懸念
トランプ前大統領は、国防総省や司法省のトップを自身に忠実な人物に次々と交代させている。さらに、司法省はFBIから2021年1月の議会襲撃事件の捜査に関わった捜査員を多数解雇。政敵への訴追を画策しているのではないかとの疑念も生じている。
独裁化への懸念
「連邦政府の独立機関の自治権を撤廃する」という大統領令も、政府の私物化、ひいては独裁化への布石ではないかとの懸念が広がっている。「クーデターは軍事的なものだけではない。アメリカは内部から破壊されている」とデモ参加者は危機感を募らせる。
デモ参加者が掲げるプラカード
アメリカの民主主義の未来
「クーデターを止めろ」「マスクはすぐにやめろ」というデモ参加者のシュプレヒコールは、アメリカ国民の不安と怒りを象徴している。今後のアメリカ政治の行方、そして民主主義の未来は、予断を許さない状況にあると言えるだろう。