3歳児健診は、子どもの成長過程において重要な節目です。健診項目の中には、吃音（きつおん）に関するものも含まれていますが、その取り扱いは自治体によって異なっているのが現状です。この記事では、長野県内の現状を中心に、3歳児健診における吃音への対応、早期発見・支援の重要性、そして専門家の見解について詳しく解説します。
長野県内における吃音健診の現状
長野県内19市における3歳児健診の現状を信濃毎日新聞が調査した結果、吃音に関する項目の表記にばらつきがあることが明らかになりました。「吃音」と明記している自治体は2市、「どもり・どもる」と表記している自治体は12市、そして5市には該当項目自体がないという結果でした。表記の違いが生じている理由について、各市は「分からない」と回答しています。
3歳児健診で使われている問診票
全国的な調査でも同様の傾向が見られます。10都県の343市区町村を対象とした調査では、「吃音」と明記している割合はわずか1.2%、「どもり・どもる」を含めても31.2%にとどまりました。
専門家による吃音早期発見の必要性
慶應義塾大学医学部の富里周太助教は、「吃音の大半は2～3歳で発症するため、3歳児健診は早期発見の重要な機会」と指摘しています。健診での質問項目は、専門家との面談につながるきっかけとなるため、項目がないことで適切な支援を受けられない子どもが増える可能性があると警鐘を鳴らしています。
吃音：早期治療の重要性と東御市の取り組み
国立障害者リハビリテーションセンターの調査によると、3歳までの吃音の有症率は8.9%に上ります。同センターはガイドラインで、幼児期は吃音治療の効果が出やすい時期であると明記し、3歳児で経過観察、4歳児で積極的な介入の検討、5歳児で積極的な介入を推奨しています。
吃音に関する項目がある問診票
長野県東御市では、3歳児健診の問診票に「吃音」の項目を設け、市民病院の言語聴覚士が健診会場に出向いています。問診票への記入や聞き取りで吃音の兆候が見られた場合、保健師が言語聴覚士につなぎ、必要に応じて「ことばの外来」への受診を勧めるなど、早期発見・支援に積極的に取り組んでいます。
まとめ：未来への希望を繋ぐ吃音支援
吃音は早期発見と適切な支援によって、症状の悪化や社会生活への影響を抑えることが可能です。3歳児健診における吃音への対応の現状を理解し、一人でも多くの子どもが適切な支援を受けられるよう、社会全体で取り組むことが重要です。
例えば、料理研究家の山田花子さん（仮名）は、「幼少期に吃音で悩んでいた経験から、3歳児健診での早期発見の重要性を強く感じています。健診をきっかけに適切な支援を受け、克服できたことで、今の自分があると思っています。」と語っています。
3歳児健診は、子どもの明るい未来を守るための大切な機会です。保護者の皆様も、健診を通して子どもの発達状況をしっかりと把握し、必要に応じて専門機関への相談も検討しましょう。
