不登校:子どもの心に寄り添う、親の葛藤と希望

不登校。近年、社会全体で「学校に行く」ことだけが正解ではないという認識が広まりつつあります。しかし、その一方で、子どもを支える親御さんたちは、様々な困難に直面している現実があります。この記事では、不登校の子どもを持つ親のリアルな声、そして専門家の視点から、親が抱える悩みや必要なケアについて考えていきます。

不登校が突きつける現実:経済的負担と夫婦関係への影響

「子どもが不登校になってから、私が仕事をセーブして子どものケアをすることになりました。でも、学校とのやりとりや先生との意見のすれ違いで精神的に追い込まれ、毎日仕事に行っている夫にイライラしてしまうことも…」。大阪府在住の漫画家、川口真目さんは、小学校4年生の長男が不登校になった時の状況をそう語ります。

漫画家の川口真目さん。子どもの不登校を描いた漫画も反響を呼んだ漫画家の川口真目さん。子どもの不登校を描いた漫画も反響を呼んだ

朝になると腹痛を訴え、学校に行けなくなった長男。「学校に行けない僕は嫌いだよね、ごめんね」と繰り返しつぶやく姿に、川口さんは胸を締め付けられ、とことん寄り添うことを決意しました。しかし、その決意の裏には、厳しい現実がありました。フリーランスとして働く川口さんが仕事を減らしたことで、家計収入はほぼ半減。さらに、カウンセリングやフリースクールなどの費用が月4、5万円ほど加わり、経済的な負担は大きくなりました。「同じクラスにも不登校の子がいて、昼間に校門前で待っているお母さんたちの話を聞くと、会社を辞めざるを得なくなった人もいるそうです」。

不登校は、経済的な負担だけでなく、夫婦関係にも影響を与えることがあります。金銭的な問題に加え、学校に対する価値観の相違や、父親が子どもの状況を理解できないことなどが、家庭内に軋轢を生む原因となるのです。

学校との向き合い方:親の苦悩と専門家のアドバイス

川口さんが最も苦労したのは、学校とのやりとりでした。担任教師との関係が不登校のきっかけとなったものの、子どもへの対応について相談しても、意見が食い違い、精神的な負担は増すばかりでした。

不登校の子供を持つ親の葛藤不登校の子供を持つ親の葛藤

不登校の子どもを持つ親の支援について研究している貴戸理恵教授は、「親自身もケアが必要」と強調します。「学校とのコミュニケーションに悩んでいる親御さんは少なくありません。まずは、親自身が自分の気持ちを整理し、子どもとの信頼関係を築くことが大切です」。貴戸教授は、地域の相談窓口や自助グループなどを活用し、他の親御さんと交流することも有効だとアドバイスしています。

親子の未来:寄り添い、共に歩む

不登校は、子どもだけでなく、親にとっても大きな試練です。経済的な不安、夫婦関係の悪化、学校との葛藤など、様々な困難に直面します。しかし、大切なのは、子どもに寄り添い、共に歩むこと。専門家のサポートを受けながら、親子で乗り越える方法を探していきましょう。