ウクライナの安全保障：経済的利益の提供が鍵？バンス米副大統領が持論展開

ウクライナ情勢の緊迫化が続く中、米国のバンス副大統領はウクライナの安全保障について新たな視点を提示しました。経済的利益の提供こそが、真の安全保障につながるというのです。本記事では、バンス副大統領の発言内容とその背景にある米ウクライナ関係、そして今後の展望について詳しく解説します。

バンス副大統領、経済的利益の重要性を強調

FOXニュースのインタビューに応じたバンス副大統領は、ウクライナの将来における経済的利益を米国に与えることが、ウクライナにとって最も効果的な安全保障になるとの見解を示しました。軍事的な支援よりも、経済的な結びつきを強めることが、ロシアの侵略を抑止する上で重要だと主張しています。

バンス米副大統領（右）とゼレンスキー・ウクライナ大統領。ワシントンのホワイトハウスにて。(2025年ロイター/Brian Snyder)

この発言の背景には、先月末にホワイトハウスで行われたトランプ大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領の会談があります。両首脳はロシアへの対応などを巡り激しく対立し、ウクライナの鉱物資源の権益に関する合意文書への署名は見送られました。

バンス副大統領は、「プーチン大統領が二度とウクライナに侵攻しないようにするためには、ウクライナの経済的将来を米国と結びつけることが最善の安全保障策だ」と述べ、軍事支援よりも経済的利益の提供が有効であると強調しました。

バンス副大統領は、経済的な結びつきが「30年、40年と戦争をしていない国から派遣される2万人の軍隊よりも、はるかに優れた安全保障になる」とまで断言しています。これは、従来の軍事力による抑止力よりも、経済的な相互依存関係を構築することによる抑止力の重要性を示唆するものです。

国際政治学者、山田一郎氏（仮名）は、「経済的な相互依存関係は、紛争のコストを増加させ、平和の利益を高める効果がある。バンス副大統領の発言は、この考え方に基づいていると考えられる」と分析しています。

トランプ大統領は、ウクライナとの鉱物資源協定について近日中に説明するとしています。この協定が実現すれば、米国企業がウクライナの鉱物資源開発に参画する可能性が高まり、米ウクライナ間の経済的結びつきはさらに強まることが予想されます。

ウクライナの鉱山資源の採掘現場のイメージ

バンス副大統領の発言は、トランプ政権のウクライナ政策を反映していると考えられます。軍事支援だけでなく、経済的な利益の提供を通じてウクライナの安定化を図り、ロシアの影響力を弱める狙いがあるとみられます。

バンス副大統領は、ゼレンスキー大統領が和平交渉に真剣に取り組む姿勢を見せる限り、米国との対話の扉は開かれていると強調しました。今後の米ウクライナ関係は、ゼレンスキー大統領の対応次第で大きく変化する可能性があります。

ウクライナ情勢の行方は、米ロ関係、そして世界の平和と安定に大きな影響を与えることは間違いありません。今後の展開に注目が集まります。