みちのく記念病院…その名前を耳にしたことがあるでしょうか。青森県八戸市にあるこの精神科病院で、今、想像を絶する事件が明るみになりつつあります。院長とその弟である医師が犯人隠避の容疑で逮捕。院内で起きた殺人事件の隠蔽、そして200枚以上もの偽造死亡診断書の発覚…。一体何が起こっているのか、元職員の証言を交え、その闇に迫ります。
殺人事件隠蔽と偽造死亡診断書の実態
2025年2月、みちのく記念病院の院長である石山隆容疑者(61)と、弟で医師の石山哲容疑者(60)が逮捕されました。容疑は、院内で発生した殺人事件の隠蔽です。2年前、アルコール依存症の入院患者が、同室の認知症患者を暴行し死亡させた事件において、兄弟は看護師に指示し、死亡診断書の死因を「肺炎」と偽造した疑いが持たれています。
この事件をきっかけに、病院内で200枚以上の偽造死亡診断書が発見されました。これらの死亡診断書には、意思疎通が困難な高齢医師の名前が記されていたといいます。地域医療の最後の砦として、多くの患者を受け入れてきたみちのく記念病院。しかし、このような偽造が常態化していたとすれば、もはや医療機関としての体をなしていないと言えるでしょう。
みちのく記念病院
元看護師が語る病院の実態:患者へのケアを軽視する姿勢
10年以上前にみちのく記念病院で勤務していた元看護師の証言は、病院のずさんな運営実態を浮き彫りにしています。「患者にかける時間を極力少なくする」という方針が徹底され、医師の不在が常態化していたといいます。夜間は看護師と介護士のみで患者対応を行い、問題発生時は院長にメールで指示を仰ぐルールでしたが、返答は遅く、形式的なものばかりだったとのこと。医療従事者としての責任感、患者への思いやりは、どこにも見当たらなかったのでしょうか。
患者を危険に晒す環境:見守りセンサー不在と悲劇
元看護師は、病院の安全管理体制の杜撰さについても証言しています。当時、病院には介護用の見守りセンサーが導入されておらず、目と耳が不自由な認知症の患者をナースステーション内のベッドに寝かせていたといいます。しかし、ある夜、看護師と介護士がナースステーションを無人にしてタバコを吸いに出た際、患者は部屋を出て階段から転落、顔面を血だらけにして発見されたといいます。病院側の安全管理意識の欠如が、患者を危険に晒した痛ましい事例です。
偽造死亡診断書
医療の信頼を揺るがす事件:今後の対応に注目
みちのく記念病院の事件は、医療の信頼を大きく揺るがすものです。徹底的な調査と再発防止策の策定が急務であり、関係当局の迅速かつ厳正な対応が求められます。私たちは、この事件を風化させることなく、二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、注視していく必要があるでしょう。